「預かり保育のある幼稚園」を上手に活用して、働く幼稚園ママを目指そう!

「預かり保育のある幼稚園」を上手に活用して、働く幼稚園ママを目指そう!

2歳児までの保育園に入園している、また育児休暇が3年取得できる場合、保育園だけでなく、「預かり保育のある幼稚園」も検討してはどうでしょうか。私自身も幼稚園の預かり保育を利用した経験があるので、参考にしてみてください。(ライター・松原夏穂)

幼稚園の預かり保育とは

「預かり保育」とは、幼稚園が1日標準4時間の教育時間終了後、希望者を対象に行う教育活動のこと。文部科学省は、平成12年(2000年)に施行された幼稚園教育要領で、預かり保育を制度的に位置づけました。

保育園の待機児童の問題もあって、預かり保育のニーズは高まり、平成28年(2016年)には、幼稚園全体(公立・私立合わせて)の85.2%が実施しています。

なお、「延長保育」ともいわれますが、これは保育園で厚生労働省が行う子育て支援サービスの一つです。行政上の正しい呼び方は、幼稚園が「預かり保育」、保育園が「延長保育」です。

※参照:文部科学省 「預かり保育について」
※参照:文部科学省初等中等教育局幼児教育課 「平成28年度幼児教育実態調査」 11.幼稚園における預かり保育の実施状況(平成28年6月1日現在)34~39ページ

私立幼稚園の新たな取り組み、「TOKYO子育て応援幼稚園」

前述のように預かり保育を実施している幼稚園は増えていますが、預かり時間が短いなど、共働き家庭等の要望に十分対応できていませんでした。そこで、こうした家庭も幼稚園に通わせることができるよう、東京都では、預かり保育の受け入れに積極的な私立幼稚園については、「TOKYO子育て幼稚園」と名称をつけ、支援を行なっています。平成29年度(2017年度)から都が区市町村を通じて支援を行っています。

「TOKYO子育て幼稚園」の概要

(1)年間を通じた長時間の預かり保育

  • 教育時間の前後に4時間(教育時間と合わせて9時間)以上預かり保育を実施
  • 原則、平日5日間、年間を通じて200日以上預かり保育を実施
  • 区市町村の一時預かり事業(幼稚園型)を実施

(2)小規模保育施設(0~2歳児対象、一部の幼稚園のみ)

  • 小規模保育施設を卒園した3歳以降の子どもを受け入れるための、優先利用枠を設定
  • 小規模保育施設からの相談に対する保育内容の助言
  • 小規模保育施設に通う子ども達のために園庭を開放
  • 小規模保育施設に通う子ども達との集団保育や交流保育

※参照:東京都生活文化局 私学部 私学行政課幼稚園担当 「『TOKYO子育て応援幼稚園』ってなに?

東京都での実施園は、以下の一覧表から確認してください。現在、9区15市90園が対象となっています。

【東京23区】

  • 世田谷区(尾山台ナザレン幼稚園)
  • 中野区(新渡戸文化幼稚園)
  • 杉並区(杉並央文幼稚園、世尊院幼稚園、玉成幼稚園、久我山幼稚園)
  • 豊島区(草苑幼稚園)
  • 板橋区(赤塚幼稚園、成増幼稚園、みその幼稚園、成増すみれ幼稚園)
  • 練馬区(愛和幼稚園、旭幼稚園、大泉幼稚園、大泉小鳩幼稚園、大泉富士幼稚園、さかえ幼稚園、石神井幼稚園、白ふじ幼稚園、進幼稚園、関町カトレヤ幼稚園、高松幼稚園、田柄幼稚園、中里幼稚園、練馬幼稚園、練馬白菊幼稚園、みのり幼稚園)
  • 足立区(こだま幼稚園)
  • 葛飾区(葛飾若草幼稚園、新小岩ちぐさ幼稚園、明昭幼稚園、葛飾しらゆり学園幼稚園、熊野幼稚園)
  • 江戸川区(暁幼稚園、浅間幼稚園、江戸川めぐみ幼稚園、第二押上幼稚園、東一の江幼稚園、松江ひかり幼稚園、明福寺ルンビニー学園幼稚園、なぎさ幼稚園、清新めぐみ幼稚園、江戸川幼稚園、小松川めぐみ幼稚園、葛西めぐみ幼稚園)

【東京市町村部】

  • 八王子市(真理学園幼稚園、八王子白百合幼稚園、高尾幼稚園、セント・ベル幼稚園、東京ゆりかご幼稚園、たてまち幼稚園、おさひめ幼稚園)
  • 立川市(藤幼稚園、石川学園こばと幼稚園)
  • 武蔵野市(栄光乃園幼稚園、聖泉幼稚園、武蔵野相愛幼稚園、武蔵野中央幼稚園、武蔵野中央第二幼稚園、武蔵野東第一幼稚園、武蔵野東第二幼稚園)
  • 三鷹市(三鷹若葉幼稚園、三鷹中原幼稚園、牟礼幼稚園)
  • 青梅市(ねむのき幼稚園)
  • 府中市(北山幼稚園、府中ひばり幼稚園、府中白糸台幼稚園)
  • 調布市(調布白菊幼稚園)
  • 町田市(きそ幼稚園、境川幼稚園、立華幼稚園、鶴川若竹幼稚園、町田こばと幼稚園、夢の森幼稚園)
  • 東村山市(麻の実幼稚園、精心幼稚園、しらぎく幼稚園)
  • 国立市(つぼみ幼稚園、国立冨士見台幼稚園)
  • 清瀬市(きよせ幼稚園、清瀬しらうめ幼稚園、清瀬たから幼稚園、清瀬ゆりかご幼稚園)
  • 東久留米市(神山幼稚園)
  • 多摩市(錦秋幼稚園)
  • あきる野市(秋川幼稚園、秋川文化幼稚園、すもも木幼稚園)
  • 西東京市(こみね幼稚園)

※参照:平成30年度 TOKYO子育て応援幼稚園 一覧<9区15市 90園>

預かり保育で確かめたいポイントは

働き続けるママが、「預かり保育のある幼稚園」で最初に確認したいことは、働くママ仲間がいるか、そして保育園からの転園があるかです。これが「イエス」ならば、その幼稚園はママが働くことにある程度の理解があるといえます。

実際、「2歳までの保育園に通っている」「3歳からは幼稚園で教育を受けさせたい」「お昼寝が嫌い」などで転園を検討している人はそれほど珍しくありません。

では、預かり保育の幼稚園を選ぶ上で、何を気をつければいいのでしょうか。

以下は、「預かり保育 8つのチェックポイント」です。

預かり保育 8つのチェックポイント

1.預かり保育のための保育室は確保されているか?

専用の保育室があれば、理想的。通常保育終了後、空き教室を使うとしても、子ども達の居場所が確保されていれば、問題はありません。

2.専任の教諭はいるか?

手の空いている教諭が臨機応変に対応するだけだと、十分に子どもを見てもらえないことも。ただ、クラス担任は基本的には預かり保育を担当していません。これを不安がる保護者もいますが、子どもが色々な先生と仲良くなる良い機会です。

ただクラス担任も、業務の合間に様子も見にいき、どのように過ごしているかは把握しています。

3.預かってもらえない日はいつ?

行事の前、学期終了前・新学期開始直後の午前保育、夏休みなどの長期休業の際も預かってもらえるのか確認を。

4.年少児は入園当初から預かってもらえる?

4月の年少児は、精神的・体力的に無理をしないのが一番。ということで、年少児は6月からまたは2学期からでないと利用できないことも。ただ、保育園卒や兄弟同時在園だと、融通がきく場合もあります。どうしても預けなければならない理由を説明し、可能な限り早くお迎えに行きましょう。

5.預かり保育終了後、バス降園は可能か?

預かり保育終了後だと、園バスが利用できず、直接お迎えに行く園も。その際、バス代の返金はどうなるかを、確認を。

6.費用、預かり時間、内容、申し込み方法も確認を。

実質的な部分なので、あいまいな点はしっかり質問しましょう。費用は園によって様々ですが、他の保育サービス(保育園の一時保育など)に比べるとリーズナブルです。プログラムをしっかり組んでいるところもあれば、自由遊び主体のところも。ただ、3歳になると、子ども同士で遊べるようになるので、教諭はつかず離れずがいいとも考えられます。

7.お昼寝はできる?

大概、お昼寝の時間は設けていません。ただ、布団や簡易ベットが用意されていると眠くなったときも安心です。幼稚園入園を機に、お昼寝をしない習慣をつけていくのも一つの方法です。

8.習い事の有無

園舎で、英語や体操などの教室を開講している場合もあります。預かり保育に入れておいて、習い事もできるのは一石二鳥。こちらも、内容・費用・時間などをしっかり調べましょう。

幼稚園入園後、注意しておきたいことは

筆者の場合、長女(2018年現在中学1年生)と長男(同小学3年生)は、2歳の1年間を認可外保育園で過ごし、年少で幼稚園に入園しました。パートタイムの仕事をしていたので、預かり保育が充実している園を選び、大変助かりました。

以下にその経験をもとに、入園後働き続けるために、心掛けるべきことを記します。

預かり保育利用時に、4つの心がけるべきこと

1.年間予定・預かり保育の休みを把握

年度初めに配布される、年間予定表は隅々までチェック。このときに、預かり保育の年間日程表も、配布されるか聞いてみてください。もらえない場合は、「仕事をしているので必要です」と伝え、教えてもらいましょう。

2.保護者会・行事にはできる限り関わる

他のママや園の先生などに働くことを応援してもらえるように、保護者会や行事には可能な限り関わりましょう。そのためにも、年間予定を把握することは必要です。反面、無理なときはハッキリ断る勇気も大切です。

筆者は、保護者会と行事は参加しましたが、ランチ会は行きませんでした。

3.万一に備え、他のサポート体制も

預かり保育を実施している幼稚園は年々増え、体制も整っている園も多いですが、それでもカバーしきれないこともあります。そのためにも、ファミリーサポートやベビーシッターなどに登録しておくと安心です(代わりに迎えに行ってもらうこともあります)。両親や友だちに頼む方法もありますが、負担をかけないよう、また気遣いを忘れないようにしましょう。

4.働くこと・預けることに負い目を感じない

筆者の子ども達が通った幼稚園は働くママが多い方だったので、特別視されることはありませんでした。ただそうではないと、居心地の悪さを感じることもあるかも。

でもママ自身の意志で働くのだから、周囲に合わせる必要はありません。負い目を感じる必要はありません。

振り返れば、忙しく働いていたので、ママ同士で群れる暇はなく、そのためトラブルに巻き込まれたことがなかったのは、ありがたいことでした。

預かり保育は幼稚園の事業なので、保育園に比べると不十分と感じることもあります。でも、ママが幼稚園の間に折り合いをつけて仕事を続ける習慣をつけておくと、小学校入学後もあまり苦労を感じません(働くママに至れり尽くせりの保育園から小学校に入学すると、当初は戸惑うことも多いようです)。

また一度、皆で「さよなら」のあいさつをしてからの保育になるので、子どもが寂しがるのでは、という心配もあります。それも否定しませんが、反面、他クラス・学年の友だちと過ごすことで、クラスで多少トラブルがあっても気持ちの切り替えができるようになります。また、学童保育もこのような流れなので、小学生になったときの練習と考えてもいいでしょう。

保育園と並行して幼稚園を探そう

保育園への入園が難しい昨今。3歳以上で待機児童になってから幼稚園を考えるのではなく、保育園と平行して幼稚園も探した方が、納得いくところに子どもを通わせられます。

また、幼稚園側も、働くママ・働きたいママが、昔より格段に増えている現状を理解してサポートしてほしいものですね。