コロナ禍で一気に広まった、オンラインでの習い事。送迎の心配がなく、遠方の先生にも習えると好評の反面、親が機械に弱い、子どもに画面を見せ続けたくない、など消極的な声も聞きます。今回は、オンラインを習い事に積極的に取り入れている講師の方々にお話を伺って、オンラインで習い事を受ける「メリット」「注意点」をまとめました。(ライター・松原夏穂)
オンラインで習い事を受ける上のメリット
オンラインでの習い事は、コロナ禍で一気に広まりました。とはいえ、まだ取り組んだことがない人もいると思うので、まずは、オンラインで習い事を受けるメリットをご紹介します。
メリット①世界中の人と繋がる
「2019年まではシンガポールで、それ以降は日本で英語リズム体操教室を開催しています。オンラインを使うことで、シンガポール時代からの生徒さんとつながり続けられただけでなく、現在は様々な国から大勢の方が参加されています」
こう話すのは、世界の方と繋がれる英語リズム体操教室「&JOYリズム体操」を開催されているホープのぞみさん(東京都在住)。オンラインなら、国境など関係ありません。多彩な人々と交流できるのが魅力ですね。
メリット②人見知りでも大丈夫
小さい子どもの場合、人見知りでなかなか教室に溶け込まないのではと不安になるかもしれません。ましてやオンラインではと心配する人も多いでしょうが、実はそれほど心配する必要はありません。
「良かったことは、対面レッスンでは人見知りをしていたのに、オンラインでは、のびのびと歌ってお話もしてくれるようになったお子さんが、何人かいたことです」(リトミック教室「ドレミのおへや」、リトミックサークル「リトミっこ」を主催する井田麻衣子さん)。
「オンラインの取り組みは初めてでしたが、対面の教室では恥ずかしがるお子さんが、画面越しだと楽しそうにのびのび動いてくれます。県外からもお申し込みがあり、クラスの幅が広がりました」(親子ふれあい遊び、ベビーマッサージの「チャイルドヨガプレイスクール天使の輪pocapoca」を主催する畠山よしえさん)
実は、オンラインのほうが、家庭で取り組みできる分、人見知りすることが少ないようです。また、普段のお家遊びではできない体験で、どの子どももとても楽しんでいるといいます。
メリット③ストレス発散
コロナ禍で誰もが家にこもりがちです。そんな時の気分転換にも、オンラインの習い事は使えます。
「家にいると、イライラするし、愚痴を言う人もいないし、結局上の子に怒ることで発散してしまうこともありました
が、これで上の子も愛情を注げる時間ができました」
「低月齢であまりお出かけできないので、オンラインだと気軽に受講できて良かった」
チャイルドヨガプレイスクール天使の輪pocapocaの畠山よしえさんによると、生徒の両親からこんな声も聞かれるといいます。出かけなくても、ストレス発散はできるんですね。
メリット④時間を有効活用
また、わざわざ教室に出かける必要がないので、時間を有効活用できます。リトミック教室「ドレミのおへや」の井田麻衣子さんによると、生徒からこんな感想を聞くそうです。
「バタバタと準備をして時間を気にしながら家を出る必要もなく、開始1分前まで家事もできるので素晴らしい!と感じました。オンラインでのレッスンを受けることで新たな楽しみができ、ワクワクしています」
オンラインの習い事はどんどん増加しているので、探してみると良いでしょう。
メリット⑤学習している自覚ができる
「当初は『教室と自宅の温度差』に戸惑いました。対面では言葉以外に動作や雰囲気で伝えることができたのに、平面ではこちらが手を出さずに伝えることが、とても大変でした。しかし、生徒が自分で楽譜に書き込んで、質問するようになり『ピアノを習っている自覚』が見えたとき、とても感動しました。」
音楽教室「Seven Step Music(大阪府)」を主催する岡本美奈さんは、生徒の変化をこう話します。
オンラインレッスンは自宅で行うので、教室に行けば何とかなるというものではありません。その分、大人も子どもも「自分で考える」「自分自身でイメージをする」ことができ、「生活の一部にレッスンの内容を取り入れられる」ことが利点ではないでしょうか。自宅で体験したことは、自宅で復習しやすいと思います。
オンラインレッスンにより、生活がより潤い豊かなものになり、子育てのツールの1つとして確立する可能性もありそうですね。
オンラインで習い事を受ける上の注意点
それでは、オンラインで習い事を受ける上での注意点は何があるでしょうか。ここでは最も重要な5つのポイントを紹介します。
①オンラインの扱いに慣れている講師を選ぶ
申し込みの際、オンラインの説明が丁寧か、それが分かりやすいかをチェック。コロナ禍で一気にオンラインへシフトしたためか、中には不慣れな方もいます。
②事前に使うアプリなどはインストールして、動作確認をする
説明を聞いたら、事前にアプリなどをインストールして、動作確認を。不明な点があれば、遠慮せず講師に相談しましょう。
③2畳分のスペースを確保。危ないものは片付ける
体を動かす場合は、畳2畳分のスペースは確保。ケガや破損の心配がないよう、事前に片付けましょう。部屋の中が映り込むので、整理整頓して損はないです。
④マンションなど行動が制限される場合、事前に伝える
飛び跳ねることもあるので、マンションなど下の階に住人がいて行動が制限される場合は、事前に講師に伝えておきましょう。考慮してもらえるかもしれません。
⑤5分前には、スタンバイ(時間厳守)
パソコンなどは、つながらないなどトラブルはつきもの。5分前には立ち上げて、スタンバイを。対面の習い事と同様、時間厳守です。どうしても遅れる場合は、必ず連絡を。
オンラインの習い事で、講師が工夫していることは?
講師の皆さんは、もともと対面のクラスが中心でしたが、コロナ禍で生徒さんからの要望もあり、オンラインクラスを開始したという方も多いです。そこで、講師の方々は以下のような工夫をして、分かりやすい授業をおこなっています。オンラインの習い事がイメージできるのではないでしょうか。
また、下記のことができている講師やクラスを選ぶと、楽しく受講できるかもしれません。
①「伝わりやすい」「わかりやすい」を心掛ける
「オンラインでは、できるだけ画面を見なくても問題のないように、声のガイダンスを実際の動きより少し早めにしました。リアルで会えない分、安心感を与えられたかなと思っています」
フランス在住でヨガ講師の三澄さやかさんは、こんな点に気をつけているそうです。※参照:「ゆるヨガさやか日記in France ~ありのままの自分を生きる~ 」
オンラインは、どうしても平面の動きになるので、
・声のトーンや話す速度、間の取り方を工夫する
・「はい」「いいえ」などの合図を決めている
以上のような工夫をしているスクールを選びたいですね。
②画面上に絵を大きく出して注目させる
講師が、画面に絵や写真を映し出す「画面共有」を使うと、子ども達が集中します。これを活用する講師の方も多いです。
③子どもが自分のできたことを、認められるよう誘導する
子どもが上手くできていたら「自分に拍手しよう」と伝え、自分を認めることを習慣化することで、子どもも積極的に参加できます。
④講師が、子ども達の名前を呼ぶ
子ども達の名前をこまめに呼び、「先生は、しっかり見ているよ」をアピール。意識付けにつながります。
⑤生徒同士の交流も忘れない
空手道場※でも、オンラインで稽古をしているところが出てきています。子どもたちは久しぶりに友達に会えて大はしゃぎ。終了後は、『3分だけ繋いでおくよ』と交流時間を作って、おしゃべりの時間を作ってくれたそうです。こうした、生徒同士の交流も忘れないでほしいですね。※国際空手道連盟極真会館東京城南川端道場
まとめ
オンラインレッスンの良さを分かっていただけましたか?
今後も、インフルエンザなどの感染症が流行ったり、台風などの災害が遭ったりして、対面の習い事が難しくなる機会は十分考えられます。その点オンラインは、どんな環境でも開催できるメリットがあります。そして、今まで「遠いから通うのは無理」とあきらめていた講師のクラスも受けることができます。
是非みなさんも、一度お試しください。子どもの可能性が広がるかもしれません。