保育園見学では「園児が挨拶してくれるか」をチェックすれば、重大な事故が起こりやすいか分かる!

保育園見学では「園児が挨拶してくれるか」をチェックすれば、重大な事故が起こりやすいか分かる!

連載「本音で語る、保育園のほんとの話」(第6回)
保育園の危機対応アドバイザー・脇貴志

ウェブサイトや雑誌などで最近は必ず「保育園見学のポイント」といった特集が組まれていますが、保育士や園長の「保育に対する考え方・姿勢」が分かるポイントはなんでしょうか。プロの保育園のコンサルタントとして本当に重要なチェックポイントを考えてみました。

これまでは「空いているところに入れるだけ」

現在の保育業界の需給バランスは、まだ需要過多(施設の受け入れ規模に対し、預けたい子どもの数の方が多い状態)にあります。さらに、2019年10月から始まる幼児教育・保育の無償化によって最後の待機児童増加の波が来るでしょう。

そして最後の波が来た後は、徐々に需給バランスがとれ、近い将来では供給過多になっていくと考えられます。現在でも、地域によっては、施設過剰であるため、預けたい施設が選べる自治体があります。特に、年齢(3歳以上)によっては選べるという自治体は増えつつあります。

これまでのように、空いているところに入るしかない保活であれば、「保育園見学のポイント」など無用の長物でしたが、これからは預けたい施設を選ぶことができる状況になっていきますので、今回は「保育園見学で見るべきポイント」についてお話いたします。

従来、見るべきとされているもの

ウェブや雑誌の保育園見学特集を見てみますと、見るべきポイントは大きく分けて、以下の3つが取り上げられています。

  1. 職員体制
  2. 保育の様子
  3. 給食(食育)

それらの項目をさらに見ていきますと、以下のように書かれています。

  1. 職員体制では、配置、有資格者数、経験年数など
  2. 保育の様子では、保育士と子どものかかわり方、園児の様子、安全対策など
  3. 給食では、献立、給食のサンプル、アレルギー対策などを見て、チェックすべき

以上のようなチェックポイントが挙げられていることが多いです。

上記のような内容でしたら、別に見に行かなくても、こちらの「保育園まるごとランキング」(東京都のみ)など、評判が集まっているサイトを見て参考にするくらいでいいと思います。

なぜなら、職員体制は配置も有資格者の数も認可保育所は法律によって決まっていますし、認可外でも企業主導型保育施設などであれば決められているので、ごまかしようがないからです。

何より、保育園見学に来ている保護者の前では、授業参観みたいになるので、日常の保育よりも“盛って”保育をすることも可能です。

本当に見るべきポイントはどこか?

では、本当に見るべきポイントはどこなのでしょうか。それは、園長や職員の保育に対する考え方・姿勢が無意識が現れるところだと私は考えます。
少なくとも、私は、それらをチェックすることによって、

  1. 大きな事故が起こりやすい園かどうか。
  2. 事故やトラブルが起きたときに適切な対応ができるかどうか。

の2点はわかります。

ダメな保育園の対応とは?

まずは、私が体験してきた、ある事例を見てもらうと、どんな時に「保育に対する考え方・姿勢」が無意識に出てしまうのか解るでしょう。
ある晴れた日、関西にある保育園から、“安全管理のコンサルティング”に来て欲しいという依頼を受けたので、私は園に向かいました。

<ピンポーン>
保育園「(インターホン越しに)はーい」
「株式会社アイギスの脇と申します」
すると、電子ロックを解除し、自動ドアが開き、主任さんが出てきました。
保育園「どなたさん?何か約束?」
「私、株式会社アイギスの脇と申します。園長先生と13時のお約束で伺いました」
保育園「あっそ。どーぞ」
職員室に通され、園長が出てきました。
名刺交換をして、一通り話が終わったところで、園長が先ほどの主任に声をかけます。
園長「ちょっと、主任さんも聞いといてくれる?」
主任「何をですか?私は、今日、この人が来ることを知らされていないし、さっきから胡散臭い話をしてるから、この人は大丈夫かな、と思ってたんですよ」
園長「でも聞いといて」
主任「・・・はあ」
また同じ話をもう一度繰り返しします。
主任「何のために来たのかは分かりました。でも今日、私はこの人来ること聞いてなかったから・・・」
とまた、聞いてなかったアピール。面倒くさい仕事が増えるのは嫌なのでしょう。
それを受けて、園長が、
園長「それは、ごめんなさい」
という一連の会話がありました。

正直、「この園は、もう終わってるな」というのが私の感想でした。園をたずねて来た客に対して、園のナンバー2である主任が、お客さんに対して、「この人」呼ばわり。さらに園長は主任から舐められているので、支持命令系統は壊れているでしょう。

そして、この一連の中でより問題なので、主任が無意識にやってしまった玄関でのやりとりです。

問題の主任は、来ることを知らされていなかった素性のわからない人物について、電子ロックを解除して園に迎え入れ、それから用件を聞いています。このように外から来た人を迎え入れるのであれば、電子ロックは必要ありません。もし私が不審者だったら、どうどうと玄関から内部の人間から招きいれられて、らくらくと職員や園児を殺傷できるからです。

職員の無意識が現れるところは多数ある

では、どんな時に「保育に対する考え方・姿勢」が無意識に出てしまうのでしょうか。またどこを見ると「保育に対する考え方・姿勢」が分かるのでしょうか。

ポイントを具体的に挙げておきましょう。

  • 下駄箱や傘立てがきれいに整理されているか
  • 園内や園外の掲示物の4隅がきれいに留められているか
  • 職員の目線が園児の動きに合わせて動いているか(職員が気になる1点だけを見つめているようでは、事故は未然に防げない)
  • 職員と園児の距離は適切か(必要以上に近かったり、必要なのに遠かったりするのはダメ)
  • 笑顔を含む表情が自然か
  • 園全体が明るいか(照明の明るさ、園児の明るさの両方です)
  • 園のパンフレットの内容と現場にギャップがないか(パンフレットには大層なことが書いてあるが、現場は掃除が行き届いていなかったり、職員の言動や服装がだらしなかったりしていないか。今、このようなハリボテ保育園が急増中です!)
  • 園児があいさつしてくるか(職員同士が自然にあいさつしていれば、園児はあいさつします)

以上のような職員が無意識な時の立ち振る舞い、日常がチェックできるような項目を見てくるのがいいのではないでしょうか。

無意識に出てしまう立ち振る舞いはごまかせませんからね。保護者のみなさまのご健闘をお祈りします。

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