学資保険の返戻率はあてにならない!? 条件を揃えた「返戻率ランキング」を活用しよう

学資保険の返戻率はあてにならない!? 条件を揃えた「返戻率ランキング」を活用しよう

 子どものために「学資保険に入りたい」という保護者は多いでしょうが、保険各社がアピールしている「返戻率」は条件次第でいくらでも高く見せることができます。そこで、どの保険会社、どの学資保険が本当にお得なのかを見分け方を紹介しましょう。

目次

①学資保険とはどんな商品?
②「返戻率」はいくらでも“盛れる”
③お得な保険会社はどこ?
④定期預金よりもお得なの?
⑤人気の保険会社は

①学資保険とはどんな商品?

 学資保険とは、「子供が、中学、高校、大学と進学していくタイミングで、教育資金を受け取ることができる積み立てタイプの生命保険」です。特に大学時は入学金・学費が国公立大学(自宅通学)で458万円もかかり、私立理系(自宅外)となると、1363万円もかかります(日本政策金融公庫総合研究所「平成27年度教育費負担の実態調査」より)。あらかじめ準備しておかなければ支払うことができない人もいるでしょう。学資保険を活用すれば、計画的に教育資金を積み立てることができます。

 商品としては、子供が0歳から5歳の時に加入し、18歳から22歳までの間にが学資資金を受けというという商品が一般的です。保険料の払い込み期間は5年から18年程度まで、選択できる商品が多いです。

 「将来の教育資金を用意するのであれば、貯金でもいいじゃないか」と考える人もいるでしょう。ところが、学資保険にあって、貯金にはない機能として、「保険料払込免除特約」という保障があります。これは、契約者である親が死亡・高度障害状態になった場合、それ以降の保険料の支払いが免除されるものです。万が一、親が亡くなった場合も子どもの教育資金は心配いらないということです。これは貯金にはない機能ですね。

②「返戻率」はいくらでも“盛れる”

 では、学資保険はどの保険会社の商品を選べばいいのでしょうか。

 その際に参考となるのが「返戻率(へんれいりつ)」です。各保険会社の学資保険のサイトを見ると必ずと言っていいほど書かれている指標です。これは、「受け取る金額の合計」を、「支払う金額の合計」で割ったもの。返戻率が100%を超えれば、受け取る金額の方が多いということを意味し、この数値が大きいほどお得な商品ということになります。

 「じゃあ、返戻率が高い保険会社を選べばいいじゃないか」と考えるでしょうが、実はそう簡単な話ではないのです。「返戻率」は保険料の支払い方、学資資金の受け取り方を“操作”することで、大きくできます。実際には「そんな契約をする人はいないよ」という、返戻率が高い特殊事例を作り上げることで、会社全体の返戻率を高く見せるという、悪質な保険会社もあります。

 以下が、「保険会社が「返戻率」を高く見せる7つの悪のテクニック」です。

保険会社が「返戻率」を高く見せる7つの悪のテクニック

①契約者(親)は母親にする
②契約者(親)の年齢を若く設定
③被保険者(子)は0歳または出生前
④払い込みは全額一括前払い
⑤学資資金、お祝い金は、満期にまとめて受け取る
⑥保険料払込免除特則は「なし」
⑦医療特約などオプションも「なし」

 まず、「①契約者(親)を母親にする」ことで、父親が契約者になるのに比べて、保険料が数十円安くなります。また、「②契約者(親)の年齢を若く設定する」ほど、保険料が安くなります。契約できるのは、女性なら16歳からなので、「親の年齢は16歳」とすれば、もっとも保険料が安くなり、その結果、返戻率は高くなるのです。でも、16歳の母親が学資保険に加入するなんて、あまり現実的ではないですよね。

 次に、「③被保険者(子)は0歳または出生前」も保険料が安くなります。学資保険は18歳満期、22歳満期と払込期間が決まっているので、加入年齢が早いほど、保険会社は長期の運用が可能になります。「④払い込みは全額一括前払い」「⑤学資資金、お祝い金は、満期にまとめて受け取る」も同様に、長期の運用が可能となり、その結果、返戻率は上がります。

なお、払い込み方法は、全額一括前払いとい人はそれほど多くなく、通常は毎月支払いです。ただし、「年払い」という1年分の保険料をまとめて毎年支払という契約法もあり、これも毎月支払いよりは保険料が安くなります。

 さらに、全額一括前払いであれば、学資保険の特徴である、「⑥保険料払込免除特則は『なし』」でも問題はなく、保険料は安くなります。「⑦医療特約などオプションも『なし』」にすれば、やはり保険料は安くなり、返戻率は上がるのです。

 以上のように、条件次第で「返戻率」は大きく変わります。保険会社のサイトなどで「高い返戻率」をアピールしていたら、細かい注釈を読んで、それは現実的なプランなのかチェックすると、保険会社の営業姿勢が真面目かどうかが分かるでしょう。

③お得な保険会社はどこ?

 では、本当にお得な学資保険はどうやって見分ければいいでしょうか。簡単なことですが、同じ支払い条件、受取条件で比べて、もっとも返戻率が高い学資保険を見つければいいのです。

 ただし、個人で各保険会社の商品を比べるのは非常にめんどくさい作業です。そこで、以下の条件で主な学資保険を比較してみました。実は保険会社各社は単純な商品であるため、比較されるとどちらがいい商品かわかってしまいます。そこで比較しにくいよう、ちょっとずつ商品設計を変えています。全く同じ条件では比較できないので、条件にはある程度幅をもたせました。

【比較するための条件】
・契約者(親)=30歳男性
・被保険者(子ども)=0歳
・学資資金の合計=180万〜210万円(大学向け資金が手厚いタイプ)
・保険料払込期間=10〜18年
・保険契約期間=21〜22年

 その結果は以下の通りです。

学資保険の返戻率ランキング

(主要保険会社、前提条件は、契約者(親)=30歳男性、被保険者(子ども)=0歳、学資資金の合計=180万〜210万円(大学向け資金が手厚いタイプ)、保険料払込期間=10〜18年、保険契約期間=21〜22年、2018年1月現在)

1位 返戻率107.20%

「ソニー生命「学資保険(無配当)Ⅲ型」

(毎月支払額=15540円、学資資金の合計=200万円、保険料払込期間=10歳、契約満期=22歳)

2位 返戻率105.80%

「日本生命「ニッセイ学資保険(こども祝金なし型)」

(毎月支払額=16534円、学資資金の合計=210万円、保険料払込期間=10歳、契約満期=22歳)

3位 返戻率105.50%

「富国生命「みらいのつばさJ型(5年ごと配当付き学資保険)」

(毎月支払額=14354円、学資資金の合計=200万円、保険料払込期間=11歳、契約満期=21歳)

4位 返戻率104.70%

「明治安田生命「つみたて学資(無配当)」

(毎月支払額=15910円、学資資金の合計=200万円、保険料払込期間=10歳年、契約満期=21歳)

5位 返戻率 98.10%

「アフラック「夢みるこどもの学資保険(無配当)」

(毎月支払額=15276円、学資資金の合計=180万円、保険料払込期間=10歳、契約満期=22歳)

6位 返戻率 97.53%

「かんぽ生命「学資保険(配当あり)」

(毎月支払額=14240円、学資資金の合計=200万円、保険料払込期間=12歳、契約満期=21歳)

 「返戻率」が最も高かったのは、ソニー生命「学資保険(無配当)Ⅲ型」の107.2%でした。一方で、最下位のかんぽ生命「学資保険(配当あり)」の返戻率は97.53%でした。

 同じ学資保険でも、保険会社によってこれだけ違うことに驚いたのではないでしょうか。また、全国展開しており、知名度もある「かんぽ生命」の返戻率が低いことも多くの人は知らないでしょう。学資保険への加入を検討する際は、こうした比較をするのが賢いやり方です。

なお、同条件で、学資資金の合計が300万円にアップすると、明治安田生命、日本生命は返戻率がぐっとアップします。

明治安田生命「つみたて学資(無配当)」で、学資資金の合計を300万円に増やすと、返戻率は105.70%までアップ。日本生命「ニッセイ学資保険」については、学資資金の合計を300万円に増やすと、返戻率は107.20%までアップします。これだけ高い返戻率になると、有力な候補の一つになるでしょう。

④定期預金よりもお得なの?

 ちなみに、先ほどの前提条件で、トップクラスの返戻率を誇った、ソニー生命「学資保険(無配当)Ⅲ型」は、返戻率が107.20%でしたが、これは定期預金と比べても本当にお得な商品なのでしょうか。表計算ソフトを使って、実質利回り(年利)を計算してみました。実質利回りであれば、銀行が表示している定期金利の金利と比較することができます。

 細かい計算は省略しますが、毎月の支払額と受取額を全て書き出して(最大で22年×12ヶ月=264ヶ月)、そこから実質利回りを割り戻すという作業で計算できます。その結果、返戻率107.20%のソニー生命の学資保険は、「実質利回り0.498%」となりました。

 最近(2017年12月時点)の銀行の定期預金の金利を見ると、学資保険に最も固定期間が近い10年固定金利は0.1%と非常に低くなっています。5年固定金利の方が金利は高くなっており、それでも金利は0.3%程度です。これなら銀行に預金するよりも、学資保険を契約する方がお得と考えても、おかしくはないでしょう。学資保険なら、「保険料払込免除特則」という、契約者(親)が死亡・高度障害になった場合の保険もついているので、トップクラスの学資保険の方が有利ということになります。

 ただし、途中で解約した場合は、定期預金の方が有利になるケースが多いでしょう。定期預金は、途中で解約しても元本を毀損することはありません。一方で学資保険は、契約してから数年の間に解約すると、元本割れしてしまうことが多いので気をつけましょう。

⑤人気の保険会社は、返戻率に似ている

なお、どの生命保険会社の学資保険が人気を見ると、面白い傾向がわかります。各保険会社のサイトで公表している年間契約数を見てみましょう。

・ソニー生命 144万件
・明治安田生命 57万件
・日本生命 30万件

(2017年10月現在)

 やはり、先ほどの「学資保険の返戻率ランキング」でも比較的上位にいる保険会社が中心となっています。加入者も無意識のうちに、返戻率が高い保険会社を選んでいるのですね。
学資保険に加入する際は、先ほどの「学資保険の返礼率ランキング」を参考にするのがいいでしょう。

学資保険の返戻率ランキング

(主要保険会社、前提条件は、・契約者(親)=30歳男性、被保険者(子ども)=0歳、学資資金の合計=180万〜210万円(大学向け資金が手厚いタイプ)、保険料払込期間=10〜18年、保険契約期間=21〜22年)

1位 返戻率107.20%

「ソニー生命「学資保険(無配当)Ⅲ型」

(毎月支払額=15540円、学資資金の合計=200万円、保険料払込期間=10歳、契約満期=22歳)

2位 返戻率105.80%

「日本生命「ニッセイ学資保険(こども祝金なし型)」

(毎月支払額=16534円、学資資金の合計=210万円、保険料払込期間=10歳、契約満期=22歳)

3位 返戻率105.50%

「富国生命「みらいのつばさJ型(5年ごと配当付き学資保険)」

(毎月支払額=14354円、学資資金の合計=200万円、保険料払込期間=11歳、契約満期=21歳)