保育士、看護師を経て、笑顔で働き続けたい女性のためのキャリアコーチへ! 保育士の転職体験

保育士、看護師を経て、笑顔で働き続けたい女性のためのキャリアコーチへ! 保育士の転職体験

保育士は転職する方が多いといいますが、どんな転職体験をしているのでしょうか?今回お話を伺ったのは、みずほさん(33歳)。現役の保育士で看護師、そして女性のためのキャリコーチもされています。保育士資格と幼稚園教諭二種免許状、看護師資格、第一種衛生管理者の資格をお持ちです。(ライター・松原夏穂)

看護師と保育士の両方の資格を持つ
写真はイメージです。

幼稚園の頃の先生に憧れて、保育の道を目指す

「4歳から2年保育で幼稚園に通いました。そのためか、なかなか集団生活に馴染めませんでした。それでも先生は、私が園生活を楽しめるように工夫してくださいました」

幼少期の思い出を楽しそうに振り返るみずほさん。そのときの先生に憧れて、短大の保育学科に進学しました。卒業後は、同級生からの紹介で私立認可保育園に就職。0歳児クラスで複数担任に就きました。

新卒で入った保育園で、理想と現実のギャップに戸惑う

夢を抱いて保育現場に入ったものの、理想と現実とのギャップに戸惑います。

年功序列の雰囲気が根強く、意見やアイデアが採用されるのは、役職が就いていたり長年働いていたりする保育士だけ。さらに、保護者からは「子育て経験もないのに」と、言われることも。

そんなことが重なり、「せっかく資格を取っても、自分のやりたいことを実践するには時間かかるな。一度退職しようかな」と思うように。

それでも、子ども達に関わる仕事は続けていきたいので、発想を転換。「経験年数が少なくても、やりたい保育ができる方法」を考えました。

そこで行きついたのは、「看護師資格の取得」と「小児科勤務の経験」でした。

「幼児の病気やケガの専門知識と、その対応を身に付けることができれば、心強い武器になると思いました」(みずほさん)

早速、定時制の看護学校を探し、願書を取り寄せて、保育園勤務の合間に受験勉強を開始。並行して、看護師の友だちに相談するなどして、学費を支援してくれる小児科を探し、採用試験を受けて合格。

保育園は、1年間勤務して、21歳で退職しました。

看護師資格を取得、医療の場で子ども達に関わる

転職先の小児科では、病児保育室と小児科外来で正規職員として勤務。その一方で、看護学校に通いました。

働きながら学校に通うのは大変そうですが、「とにかく体調管理に気を遣いました。看護学校の友人たちも働きながら学生をしていた人が多いので、励まし合いながら皆で乗り超えました」(みずほさん)と頼もしいお答え。

24歳で看護士の資格を取得。この小児科でさらに1年勤務する間に、医療ケア児の保育に関心を持ち、重症心身障害児施設に転職。看護師として勤務します。

重症心身障害児施設は夜勤もあり、慣れるまでは大変でした。

「患児(小児患者)に添い寝をしたり、死後の処置に立ち会ったりと辛い思い出もありましたが、とても良い経験になりました」

少しずつ、看護技術に自身が持てるようになった27歳。縁あって、新規開業して間もない小児科を紹介されて転職。保育士と看護師資格のダブルライセンスを評価され、管理職(看護師長)として勤務します。

「今なら私は保育園で役に立てる!」と、再度保育の道へ

そのうち「今なら私は保育園で役に立てる! 」と確信が持てるようになり、29歳で保育の現場へ復帰。認可小規模保育室の園長になりました。

ここでは、退職者ゼロや残業ゼロ、有給消化率100%を達成し、保育士の教育や育成、管理職向けの研修に力を入れました。

このころ、第一種衛生管理者※の資格を取得。また、発達障害児や医療ケア児の保育についての勉強も始めました。

「大変なこともありましたが、自分の力を試す良い機会になりました」(みずほさん)

※第一種衛生管理者とは、労働者の健康障害や労働災害を防止するために、労働安全衛生法で定められた国家資格。作業環境の管理、労働者の健康管理、労働衛生教育の実施、健康保持増進措置などを行う。

31歳で別の保育室へ園長として異動。この頃に結婚し、仕事と家事を両立しながら32歳で妊娠出産。仕事はずっと続けるつもりで、産後6週で職場復帰しました。

管理職をしながらの妊娠出産でしたが、「大変だと思ったことはなく、毎日刺激的で楽しいです。ただ、楽しめているのは夫や一緒に働く仲間、理解ある組織、生後2か月の娘を預かってくれた保育園のおかげです」(みずほさん)と微笑みながら語ってくださいました。

これまでの経験を活かし、女性のためのキャリアコーチに

33歳。2020年3月末で園長職を引退。発達障害児や医療ケア児について学ぶため通信制の大学へ入学しました。

コロナ禍により、在宅で仕事と育児、子育てに励みながら、キャリアコーチとしての活動を本格化させています。

女性がライフステージの変化によって、やりたい仕事をあきらめることはあってはならないこと。

みずほさんは、「笑顔で働き続けたいと思っている女性の、働き方やキャリア構築のお手伝いをしていきたいです。また、私自身がそういった働き方のロールモデルになれればいいなと、思っています」としています。

現在、定額制のキャリアコーチングメニューを作成中で、キャリアコンサルやコーチングに馴染みのなかった人たちにも、手軽にセッションを受けてもらえるようなサービスを作っていく予定です。

転職を考えている保育士へのメッセージ

みずほさんから、転職を考えている人へのメッセージを頂きました。

「転職は悪いことではありません。組織の中で「個」を磨くという意識を持った転職は、どんどん挑戦していいと思います。戦略的な転職は、キャリ構築の手助けになります。独立・起業しないとやりたいことができないといわれがちですが、保育園の保育士はそうはいきません。だからこそ、『雇われの身』でもやりたいことやるために、積極的なキャリア構築に挑戦してほしいと思っています」

趣味がロードバイクのみずほさん。山あり谷ありの人生も、レースのように楽しめるから、パワフルで前向きなのかもしれませんね(ちなみに筆者は、ロードバイク未経験です)。貴重なお話ありがとうございました。

現在、note「看護師×保育士×キャリアコーチ藤森みずほ」を運営中です。

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