新型コロナウイルス影響下でも、保育士やママは頑張っています。

新型コロナウイルス影響下でも、保育士やママは頑張っています。

新型コロナウイルスの感染拡大と、それに伴う緊急事態宣言で、保育の世界は対応に揺れています。保護者と保育士の両面から、コロナウイルスに対する対策、意見、工夫などをまとめてみました。(ライター・松原夏穂)

保育士からの意見~保育園の現状

コロナウイルスの感染拡大という状況の中、自治体によって保育園の運営については対応が分かれています。従来どおり運営するという自治体もあれば、基本的に全保育園を休園とする自治体もあります。運営している保育園も、従来とは違った対応が求められています。

まずは、保育園で働く保育士に、現状について聞いてみました。

「私の勤める保育園は緊急事態宣言で市役所から『登園自粛』となり、登園するお子さんが4〜6人程度になりました。定員50人なので、ほとんどの方が預けていないという状況です。登園させている保護者の方のお仕事は、なかなか休むことが出来ず、ハイリスクでもある医療関係やコンビニ、携帯ショップなどの方が多いですね。そのため職員も自宅待機の日があり、週2〜3日の出勤になっています」

この自治体では、「登園自粛」を保護者に呼びかけています。「登園自粛の通知は保護者に配布しただけで、それ以上の発信はできず、来るものは拒まず状態です。そんな中、保護者の方々は協力して下さり、登園自粛は進んでいます」といいます。保護者が勤める企業でも、出社の自粛などが広がっているためか、この保育園では、すんなりと登園自粛が進んだようです。

とはいえ、気になるのが、子どもたちの過程での生活。保育士によると「(家庭保育には感謝していますが、)育児疲れで虐待やDVが出ないように電話で時々様子を見ていこうと思います」としており、登園自粛下での保育園による子どものケア体制も必要になってきそうです。

保育園の新型コロナウイルス対策は?

新型コロナウイルスを始めとする、保育園での感染症対策も気になるところです。保育園によって温度差はかなりあるようです。

都内で働く別の保育士によると、次のような対策をしているとのことです。

「私の勤務している保育園は、感染症対策はしている方だと思います。床を殺菌消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム6%のピューラックス)で拭くのを、 1日1回から2回に増やしています。玩具の消毒は普段から毎日行っていますが、更にこまめに行っています。登園時、降園時に職員や保護者が触るタブレットやスイッチ、扉などについても、殺菌消毒剤スプレーで消毒しています」

元々、多くの保育園は殺菌に気をつけているところが多いので、この保育園ではこうした殺菌対応の下地ができているようです。

食事についても気になります。

「職員の食事にも気をつかっています。登園児が減ったため、空いている保育室の窓を開放し、1テーブルに1人ずつで食べるようにしています。職員数も限られた人数での出勤なので、食事の時間に同じ部屋にいる人数は、多くて3人程度です」

また、他にも、以下のような対応で、感染予防につとめているといいます。

  • 朝夕の登園時、降園時は、玄関やテラスで対応
  • 年齢毎に保育室で過ごす。合同保育はしない(朝の会なども含む)。
  • 食事は4人テーブルの場合、席に着くのは2人までにする。
  • 午睡は、間隔を開けて布団を敷く。
  • 歌の活動は一斉に行わず、個々で子どもが歌う程度に留める。

また、こうした取り組みは逐一保護者に説明はしていませんが、保護者に質問されても大丈夫なように、職員間で情報を共有するようにしているとのことです。保育園によって対応は大きく違うでしょうが、以上のような取り組みをしてもらえると、比較的安心感があるのではないでしょうか。

保護者は、子どもと仕事をどう両立させている?

一方で、保護者もコロナウイルス感染拡大の中で、対応に困っている人も多数います。休園になって困ったこと、子育てで工夫していることなど、率直に語ってもらいました。

4歳と2歳の二児のママ(会社員)の現状

私の住んでいる市は「登園自粛要請」が出ているので、自宅で子ども2人と過ごしています。

私はフルタイムで在宅ワーク。夫は4月は自宅待機中なので、子ども2人の相手、家事全般をやっています。とても助かっています。ですが、5月から夫の在宅ワーク環境が整うと、ダブルで在宅ワークの可能性が有り、子どもの居場所に困りますね。

週に何日か仕事休むか、夫婦間でシフト組んで勤務時間ずらすか……など、考えています。

公園も大きい所は規制されてきたようで、子どもがストレス溜まっていそうです。「3密(密接空間、密集場所、密接場面)」を避けて早朝に散歩、公園とか行ったりしていますが、いつまで続けられるのか、不安です。

せめて午前中だけでも保育園に行けるようになるとだいぶ違うと思いますが、健康と安全を優先するとなかなか難しいですよね

1歳、3歳、6歳の3児のママ(自営業)の現状

1歳児と3歳児は別の保育園に通っています。うち1園は休園に近い状態です。医療従事者など以外はできるだけ自宅待機で……と言われ、4月10日くらいから自粛しています。そのためもうひとりの子どもも登園を自粛して、子ども同士で遊ばせています。

しかし、うちは2人が幼児なので、昼間に家にいると全く仕事はできません。そのため、早起きをしています。普段も大体朝4時起きでしたが、とても忙しいときは朝2時半起きとか。でないとなかなか仕事はできませんね。仕事はライターをしており、企業のWEB編集やディレクションの仕事がかなり入っています。

朝が早いから、夕方になるとすでに眠気でフラフラ(笑)。子ども達と一緒に「お休みなさい」して就寝、朝2時半起きです。

でも、この自宅待機は、親子のコミュニケーションやスキンシップをたっぷりできる時間でもあり、ある意味いい機会とも思っています。登園時の倍は3人を抱っこしています(笑)

夫はまだ通勤していますね。不動産屋ですが、まだ稼働しています。

3歳児のママ(自営業)の現状

非常事態宣言以降、困っていることだらけです(笑)

困っていることは、たくさんあります。

  • 公園で、利用できない遊具があるので、外の遊び方に困る。
  • 3食作らないといけないこと。
  • 太ってしまうので、家族全員の運動量をどう上げるか。
  • 平日の仕事が集中できないこと。
  • 子どもが友だちと遊べないこと。
  • ママ友に声を掛けていいか、悩む。
  • お馴染みのシッターも来てくれない。

そこで、いろいろと工夫しています。

  • 割り切って朝に仕事をすること。
  • 子どもの生活リズムを崩さないように、いつもと同じ時間に起きて外に散歩に行く。
  • 夫と、子どもの世話を交代制にする。
  • Facebookに困ったことや疑問を投稿して、先輩ママや共通の環境の人から、様々な情報を集める。
  • パズルなどを買って、時間稼ぎできる遊びをする。

まとめ

保育園の感染予防対策について取材してみましたが、「保育園によっては、こんなに丁寧に対応してくれるのか 」と驚くと同時に感動しました。

この状況下でも、子どもを預けて働かないといけない人もおり、そんな人のために保育士は最前線で必死に頑張っています。

また、保育園に預けられず、自宅で子どもを見ながら仕事を続けるママ達も頑張っています。「大変だ」と言いつつ、今できることを考えて、ときには子どもと過ごせる時間を楽しんでいます。

歴史を振り返ると、人間はウイルスと何度も直面して乗り越えてきました。一人ひとりの心掛けで、今の状態を終息に近づけるように頑張りたいですね。