病児保育・病後保育は、共働き家族に必須! 事前登録をするため、情報収集を

病児保育・病後保育は、共働き家族に必須! 事前登録をするため、情報収集を

病児保育、病後保育

保育園を利用している共働き家族にとっては、「子どもが病気になったけど、仕事は休めない」という問題があります。特に、手伝ってくれる両親や親戚がおらず、仕事も簡単には休めない家族にとって、深刻な問題です。病児・病後児保育施設の情報を収集し、事前登録をして、いざというときに備えましょう。(ライター・松原夏穂)

病児・病後児の違い

病児保育の利用にあたっては、まず、言葉の意味を知っておく必要があります。健康でない児童を指す言葉に、「病児」と「病後児」の2種類があります。この違いは以下のようになっています。

病児:「病気中」で、集団生活が困難な児童。
病後児:「病気の回復期」で、集団生活が困難な児童。発熱などはないけれど、いつもの元気がなく、通常の保育に戻すのが難しい状態。「病気の治りかけ」です。

※「児童」の表記にしているのは、対象が基本10歳未満だからです(自治体による)。

病児・病後児保育とは

では、「病児・病後児の保育」について、説明しましょう。

病児・病後児保育は、通常の保育園での集団生活が困難な期間に、保育園や医療機関等に付設された専用スペース等で、保育や看護ケアを行う事業です。その他、保育中に体調不良になった児童を保育園の医務室等で看護師等が緊急的な対応についても、含まれます。基本的には、事前に登録しておく必要があります。

では、どんなスタイルの「病児・病後児保育」があるのでしょうか。大きく分けて、以下の4タイプがあります。

1.病児・病後児対応型

病院・保育園等の付設の専用スペースで、看護師等が地域の病児を一時的に預かる事業です。
病児型は、病院や診療所に併設されている施設が多く、看護師だけでなく、医師も常駐しています。
病後児型は、保育園の一室を専用に使っていることが多いです。看護師と保育士が対応します。p>

2.体調不良児対応型

保育園などで、体調不良となった児童を一時的に預かる事業。
朝元気に送り出したのに、保育中にも関わらず保育園から電話がかかり、「体調不良なので、お迎えに来てください」。迎えに行くと、一人別室で保育士と共に休んでいるというパターンです。こちらは看護師である必要はありません。

3.非施設型

看護師等が、病児・病後児の自宅を訪問し、一時的に保育する事業です。
ベビーシッターがこれに含まれます。

4.送迎対応型

保育中に「体調不良」になった児童を、病院・保育園等の専用スペースに送迎し、一時的に保育する事業です。
ちなみに、多くの保育園が「保育園で、体調不良となった児童を一時的に預かる」ことはしてくれますが、基本的には、早期にお迎えに来て欲しいと言われます。
どうしても、親が迎えに行くことが不可能な場合もありますが、富山市では「お迎え型病児保育事業」というものがあります。保護者に代わって、富山市の看護師と保育士がタクシーで子どもを迎えに行き、かかりつけ医などを受診した後、病児保育室で子どもを預か流という事業です。共働き世帯率が高い北陸だけに、進んだ取り組みですね。

参考:富山市「お迎え型病児保育事業」
厚生労働省 <参考資料2>病児・病後児保育制度の概要
厚生労働省 <資料5-2>保育の受け皿を拡大するとともに、それを支える保育人材の確保を図ること 病児保育事業の概要

周囲の病児・病後児保育の状況を調べよう

病児・病後児保育の利用を考える場合は、まずは情報収集をしっかりしましょう。自治体のホームページ等で、情報を得られます。「病後児」のみ対応の自治体もあったり、対象年齢や病状の要件が自治体によって異なることがあるので、注意が必要です。

多くの病児・病後児保育は、事前登録が必要なので、保育園に子どもを預け始めるときに、登録しておくのがいいでしょう。

現在、全国で2500カ所以上の病児・病後児保育があり、年々増えています。利用料金は、東京都の場合、一人一日2000〜3000円程度です。登録料が別途かかりますが1000円程度です。

参考までに、東京都病児・病後児保育施設一覧を掲載します。23区ですと、各区に数カ所あります。これ以外にも、民間のサービス・施設が増えてきました。

参考:東京都福祉保健局 東京都病児保育事業

利用の流れと注意点

大まかな利用の流れと注意点を記します

1.事前登録


利用の際には、施設毎に事前登録が必要です。手順が各自治体のホームページに書いてあることが多いので、まずはしっかり読んでください。
利用登録には面接が必要な施設、登録料が発生する施設もあります。

2.利用時は、かかりつけ医を受診


利用が必要なときが来てしまったら、まずはかかりつけ医を受診。その際「医師連絡票」に必要事項を記載してもらいます。所定の用紙は、施設に置いてあったり、ホームページからダウンロードできることが多いです。

3.病児・病後児保育を予約


事前登録した施設に、なるべく早く予約の連絡を。前日までに登録するという施設が多いですが、当日の申し込みに対応している施設もあります。ただし、定員に達して利用できない・キャンセル待ちになることもあることを、念頭に置いてください。そのため、複数の施設を登録しておくことを、おススメします。
当日は、必要な荷物をまとめて、施設へ。お弁当やミルク持参のことが多いので、いつもより荷物が多くなります。
自治体によって異なる点は多々ありますが、事前登録が必要なのはどこも同じです。育休中に、通常利用の保育園だけでなく、病児・病後児保育も探しておきたいところです。

筆者の苦い、病後児保育体験

筆者には、病後児保育で苦い体験があります。

長男が1歳になる前のこと(2011年頃)。まだ、私が本格的に仕事に復帰する前でしたが、仕事の1週間前から長男は風邪をひき、3日前に平熱になったところで、病後児保育を予約。利用前日の受診では、「普通の保育園で大丈夫」と医師から許可を得たので、病後児保育を取り消して別の一時保育に預けました。病後児保育は少し遠く、対して一時保育の方は近所で、何度も預けていたので、慣れているとことの方が長男も安心だろうと、判断しました。

当日は、病み上がりだけど医師の許可は得たことは伝えて、預けました。

昼過ぎ、仕事がひと段落して、携帯を見ましたが、着信は何もありませんでした。ホッとして、マナーモードを解除するのを忘れました。夕方、何気なく携帯を見ると、保育園から着信が何回も…。

長男は、嘔吐と下痢を繰り返していたらしく、慌てて迎えに行き、一時保育の施設の方には平謝りでした。

「病後児保育をキャンセルしなければ良かったのか」
「でも、自宅から少し遠く、更に初めての場所で安心して過ごせなかったかもしれない」

色々と考えてしまいました。嘘をついたわけではないので落ち度はないけれど、家から遠い病後児保育の施設に預けるのは、実際には気が進まないと思いました。お金はかかってもベビーシッターを頼んだ方が良かったな、とも思い、ほどなく病児・病後児も対応してくれる民間のベビーシッター会社に登録し、非常時はそちらを利用することにしました。

病児保育の救世主 NPO法人フローレンス

民間のベビーシッターサービスは少なかったのですが、徐々に増えています。

首都圏を中心に展開しているNPO法人フローレンスは、子どもに関わる様々な取り組みを行っていて、中でも病児専門のベビーシッターサービスが有名です。

「100%対応保証」とうたっており、当日朝8時までに連絡すれば、ベビーシッターを派遣して、子どもを預かってくれます。入会金の他に月会費なども必要で、決して安くはないサービスです。以下に詳細を記します。

病児保育「NPO法人フローレンス」の概要

・入会金:30,000円(税抜、兄弟割引等の割引制度があり)
・月会費:5,100円~25,300円(税抜、児童の年齢、利用頻度により変動。年齢が上がるにつれ低額に。利用頻度が低いほど低額に)
・保育料:1時間2,000円(税抜、月会費には毎月1回目の保育料が含まれるため毎月初回は無料)
・対応できる病気:はしか以外の疾病・病状(インフルエンザAおよびB・水ぼうそう・結膜炎・胃腸炎〈感染性・ノロ・ロタ・嘔吐下痢〉・風邪・RSウイルス感染症・プール熱・手足口病・肺炎 ヘルパンギーナ・突発性発疹・溶連菌感染症・おたふく・マイコプラズマ肺炎・ 外耳炎・中耳炎・上気道炎・ 咽頭炎・ 扁桃炎・ 喉頭炎・気管支炎・アデノウイルス・喘息・喘息様気管支炎・ その他)
・受診代行が可能(診断名が確定していなくても、預かり可能)
・保育スタッフ巡回サービスあり(2時間程度2人体制に)。
・小学6年生まで利用可能

参考「病児保育のフローレンス」

NPO法人フローレンス 利用者の声

筆者の知り合いに、過去NPO法人フローレンスの会員の方がいましたので、感想を伺いました。

1.メリット

・前日深夜でもwebサイトから予約すると、10:00頃には来てもらえた。
・きめ細かい「病児保育記録」があり、一日の様子がよく分かった(体温・体調の変化、食事や昼寝の時間、排泄回数と量、ご機嫌や遊びの内容など)
・通院(受診代行)、往診(保育スタッフ巡回サービス)、投薬も行ってもらえたのが、ありがたかった。

2.デメリット

・入会するのに時間がかかる(兄弟が入会済だと登録不要、第二子は優先的には入れた)
・追加料金はわりと高額(月会費を超えて利用する場合)
・利用しない月も会費を払う必要がある。利用会員同士が支え合う「共済」「寄付」の考えが理解できる人には、向いている。

この方は第一子出産後、約2か月で復職(フルタイム)したので、当初は月1~2回は利用したそうです。しかし第二子出産を機に時短勤務になったことで、自身が仕事を休んで看病するようになり、第二子が2歳になる前に退会しました。
「どうしても休めない」というときの、保険のような使い方だったそうです。

筆者は、この方の第一子が赤ちゃんのとき、知り合いました。実家に頼らず早々に復帰したのを「偉いな、でも大変だなー」、思う反面、「余裕を持って育児も仕事もされているな」とも思いました。今回、お話を伺い、病児保育を上手く利用していたからか、仕事に復帰できたんだなと実感しました。

フルタイムで低月齢の場合は、ありがたいシステムですが、時短勤務になったり、子どもの成長に伴い、出費を考えると、退会も検討することになりそうです。子どもは1年1年成長することで、丈夫になって行くことが多いので、子供が小さい時こそ、短期間でもいいので、利用するのがいいかもしれません。

病児・病後児保育はワーキングマザーの必須事項

ワーキングマザーには、病児・病後児保育の登録は不可欠です。とはいえ、今回調べてみると、利用できる施設数がまだ限られており、二の足を踏んでしまう方も多いのかと思います。

しかし、子どもはどこかで体調は崩します。これを念頭に置いて、保活の際に、通常利用の保育園プラス病児・病後児保育(病児可能のベビーシッター含む)も探す、という流れが浸透して、事前登録を済ませて、復職して欲しいものです。