保育園・認定こども園・事業所内保育園・幼稚園などの給料をランキングで比較!【2023年版】

保育園・認定こども園・事業所内保育園・幼稚園などの給料をランキングで比較!【2023年版】

保育業界で転職を検討する際、勤務先の給料・収入が気になるところです。保育園・認定こども園・小規模保育園・事業所内保育園、そして幼稚園の給料をランキング形式で比較してみました。また、一般職と管理職での違い、公立と私立の違いも調べてみました。(ライター・松原夏穂)

保育士の給料は、幼稚園の教諭と比較して高い?

「一般職」で月給が高い施設・業態は?

保育士、幼稚園教諭の月収はいくらになるのでしょうか。

保育、教育関連の施設と一言で言っても、業態は様々です。主な業態としては、以下があります。

  • 保育を主眼とした施設では「保育園(保育所)・認定こども園・小規模保育園(小規模保育事業)・事業所内保育園(事業所内保育事業)」など
  • 教育を主眼としたものでは「幼稚園」
  • 両方の特徴を併せ持った「認定こども園」

業態によって月給には大きな差があるほか、働き方も違います。そこで業態選びの参考になるよう、業態別の平均月給をランキングにしてみました。

まずは、「一般職」である保育士・(幼稚園)教諭・保育教諭について、業態によってどれほど給料が違うのかをランキングにしてみました(家庭的保育者は個人事業主のため、表には掲載していません)。

今回は内閣府の統計データを元に見ていきます。紹介するのは、すべて常勤職員で、給与には、年間に支給される賞与(ボーナス)の1/12を含んでいます。つまり12倍すれば年収になります。

区分 職種 平均勤続年数 給与月収(賞与込)
1位 公立幼稚園 教諭 11.1年 37万8356円
2位 公立保育所 保育士 11年 30万3113円
3位 私立保育所 保育士 11.2年 30万1823円
4位 私立幼稚園 教諭 7.8年 28万7492円
5位 公立認定こども園 保育教諭 9.9年 28万7181円
6位 私立認定こども園 保育教諭 8.2年 27万9954円
7位 事業所内保育事業(20人以上) 保育士 8年 26万9782円
8位 小規模保育事業B型 保育士 8.8年 26万9617円
9位 小規模保育事業A型 保育士 8.1年 26万8755円
10位 事業所内保育事業B型 保育士 11.9年 26万4238円
11位 事業所内保育事業A型 保育士 10.8年 23万8168円

※常勤職員の給与には、月額給与の他、平成30年度分の賞与の1/12が含まれます。参考:内閣府 「令和元年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果」の「職種別職員1人当たりの給与月額(全体状況)

ランキングを見て分かるのは、やはり公立の給料が高いことです。1位「公立幼稚園の教諭」、2位「公立保育園の保育士」と、公立の給与の高さが目を引きます。特に「公立幼稚園の教諭」は37万8356円と、2位以下を大きく引き離しています。

公立の施設に勤めるには、保育士や教諭の資格を持っているだけでなく、公務員試験をパスしないといけません。公務員試験は年齢制限があり倍率も高いですが、何年かかけて挑戦するのも1つの方法です。次で説明しますが、管理職の給与も私立に比べて高いので、公立に就職できたら、ぜひキャリアアップも視野に入れたいところです。

幼稚園と保育園を比べると、幼稚園は比較的給与が高めですが、保育園は業態によって給与の差が大きいことがわかります。

認定こども園は、幼稚園と保育園と比べると、若干給与が低めです。また、小規模保育園、事業所内保育園についても、給与が低めです。

「小規模保育園」は、0~3歳の乳児保育を対象とした施設で、A型、B型は利用定員が6-19人となっています。小規模のため、駅前のビルの一室などに設置されることもあります。

「事業所内保育園」は、企業が主体となって保育園を運営しています。実際のオペレーションは保育園運営ノウハウを持っている外部業者に委託するケースが多いです。規模は様々で、「保育所型」の事業所内保育は定員20人以上で、設備基準は認可保育所と同じです。「小規模型」の事業所内保育というのもあり、利用定員19人以下の施設で、設備基準は小規模保育A型、B型と同一です。

小規模保育園、事業所内保育園は新設されたところも多く、どうしても平均給与が低めになりがちですが、それにしても業態間の給与格差は思った以上に大きいようです。転職の際はどうしても気になりますね。ただ、小規模保育園などは職員数が少ない分、主任保育士などへの昇格も早いというメリットもあります。

管理職で月給の高い職種は?

次に、管理職(主任保育士・主幹教諭・主幹保育教諭)の月給についても紹介します。

保育業界で働き続けてキャリアアップを目指している人の参考になるのではないでしょうか。

区分 職種 平均勤続年数 給与月収(賞与込)
1位 公立保育所 主任保育士 25.1年 56万1725円
2位 公立幼稚園 主幹教諭 21.2年 53万7134円
3位 公立認定こども園 主幹保育教諭 23.1年 51万4214円
4位 私立保育所 主任保育士 21.7年 42万2966円
5位 私立認定こども園 主幹保育教諭 19.2年 37万5965円
6位 事業所内保育事業(20人以上) 主任保育士 15年 35万5918円
7位 私立幼稚園 主幹教諭 19.3年 34万9961円
8位 小規模保育事業B型 主任保育士 15.4年 30万9912円
9位 小規模保育事業A型 主任保育士 11.9年 30万3289円
10位 事業所内保育事業B型 主任保育士 16.1年 26万6264円
11位 事業所内保育事業A型 主任保育士 15.5年 26万6081円

常勤職員の給与には、月額給与の他、平成30年度分の賞与の1/12が含まれます

管理職についても、やはり公立の給与が高いことが分かります。同じ業態の「私立」と「公立」を比べると、軒並み10万円以上の差があります。「公立」だと勤続年数が長いため、給与は高くなりがちですが、それにしても大きな差です。

公務員試験は年齢制限があり、倍率も高いですが、長期間勤めることを考えているのなら、やはりチャレンジしてみるのもいいでしょう。

小規模保育園、事業所内保育園は、月収は低めです。近年増えた施設のため、ベテラン保育士が少なく、これから平均上がる可能性はあります。管理職に就くまでの期間が短いため、20代で管理者や主任を目指すことも可能です。

参考 保育士で転職するなら東京へ!上京して保育士をするメリット5つ

キャリアアップで、給与はどのくらい上昇するか比較

それでは、同じ業態・施設で、キャリアアップ(保育士→主任保育士→園長など)した場合、給与はどのように上がっていくのでしょうか。統計データを見てみましょう。紹介するのは、すべて常勤職員です。

保育園の職種ごとの給料は?

保育士は、私立、公立とも大差ありませんが、職種が上がるにつれて給与の差が大きくなります。主任保育士以上になると、公立の給与が大幅に増加しています。

とはいえ、公立でも私立でも、保育士から主任保育士へとキャリアアップすることで、給与が大幅アップすることも見逃せないですね。私立保育所でも管理職になると、月10万円以上の増額が見込めます。

施設長(園長など)までキャリアアップすれば、私立、公立ともに月50万円以上の給与となっています。

私立認可保育所
平均勤続年数 給与月収(賞与込) 
施設長 25.8年 56万5895円
主任保育士 21.7年 42万2966円
保育士 11.2年 30万1823円
公立認可保育所
平均勤続年数 給与月収(賞与込) 
施設長 31.8年 63万2982円
主任保育士 25.1年 56万1725円
保育士 11.0年 30万3113円

常勤職員の給与には、月額給与の他、平成30年度分の賞与の1/12が含まれます

幼稚園の職種ごとの給料は?

幼稚園の場合は、保育園と資格の名称が違います。「教諭」は保育士と同等、「主幹教諭」が主任保育士と同等と考えてください。

教諭の時点で、公立の給与の方が私立よりずいぶん高いです。園長ともなると、約17万円もの差があります。平均勤続年数も公立の方が長いですね。

対して、私立幼稚園は職種が上がって「管理職」になっても、大幅な増額を望めません。ただ、仕事上の拘束時間が短いことは大きな魅力です。

私立幼稚園
平均勤続年数 給与月収(賞与込) 
園長 28.6年 45万3458円
副園長 25.2年 41万3610円
教頭 20.4年 35万8046円
主幹教諭 19.3年 34万9961円
指導教諭 14.4年 32万7529円
教諭 7.8年 28万7492円
公立幼稚園
平均勤続年数 給与月収(賞与込) 
園長 29.5年 62万5524円
副園長 23.5年 57万0842円
教頭 25.3年 57万5201円
主幹教諭 21.2年 53万7134円
指導教諭 18.4年 45万2013円
教諭 11.1年 37万8356円

常勤職員の給与には、月額給与の他、平成30年度分の賞与の1/12が含まれます

その他の保育施設の職種ごと給与は?

小規模保育園、事業所内保育園は、近年増えた施設のため、平均勤続年数は短いです。ベテラン保育士が少ないこともあり、月収は少なめです。特に事業所内保育園(20人以上)は、勤続年数が10年と非常に短く、キャリアアップしやすいともいえるでしょう。

認定こども園は、園⻑になると私立で55万円、公立で61万円もの給与となります。

特に私立認定こども園については、教諭の給与は28万円程度で、私立幼稚園とはあまり差がありませんが、園長までキャリアアップすると、私立幼稚園45万円、私立認定こども園55万円となり、大きな差がつきます。

私立幼稚園の職員がキャリアアップを目指して転職を検討する際は、私立の認定こども園も視野に⼊れてもよいのではないでしょうか。

小規模保育事業(A型)定員が6~19人
平均勤続年数 給与月収(賞与込) 
管理者 14.6年 34万2861円
主任保育士 11.9年 30万3289円
保育士 8.1年 26万8755円
事業所内保育事業 (20人以上)
平均勤続年数 給与月収(賞与込) 
管理者 10.4年 35万2212円
主任保育士 15.0年 35万5918円
保育士 8.0年 26万9782円
私立認定こども園
平均勤続年数 給与月収(賞与込) 
園長 27.9年 55万6400円
副園長 22.3年 46万2597円
教頭 24.2年 39万5512円
主幹保育教諭 19.2年 37万5965円
指導保育教諭 14.1年 33万6739円
保育教諭 8.2年 27万9954円
公立認定こども園
平均勤続年数 給与月収(賞与込) 
園長 31.7年 61万8928円
副園長 27.9年 60万2086円
教頭 25.9年 55万6730円
主幹保育教諭 23.1年 51万4214円
指導保育教諭 17.3年 45万5717円
保育教諭 9.9年 28万7181 円

常勤職員の給与には、月額給与の他、平成30年度分の賞与の1/12が含まれます

保育士と幼稚園教諭を比較

最後に、幼稚園教諭と保育士は何が違うのか、改めて比較してみましょう。

保育士 幼稚園教諭
管轄 厚生労働省 文部科学省
資格・免許 保育士資格 幼稚園教諭免許状
法的位置付け 児童福祉法 学校教育法
子どもの対象年齢 0歳から小学校就学前 満3歳以上から小学校就学前
教育・保育時間 原則8時間 標準4時間
目的 基本的な社会性や生活習慣を指導する。 適切な環境の下、幼児の心身の発達を助長する。
就業場所 保育所、児童養護施設、乳児院など 幼稚園、認定こども園
更新制度 なし あり
  • 「教育」の立場で保育を行うのが幼稚園教諭
  • 「福祉」の立場で保育を行う保育士

このように、求められている役割が異なります。

幼稚園教諭・保育士になるまでの道のり

保育士と、幼稚園教諭、共通しているのはどちらも、幼児教育学科などのある専門学校・短大・大学に進学し、所定の単位を取得すると卒業と同時に免許状・資格が得られることです。

ただし、「幼稚園教諭」を取得できるのは、短大・専門学校卒では二種免許状、大学卒では一種免許状、大学院卒は専修免許状です。

二種免許状があれば幼稚園教諭として働けますが、園長などの管理職には就けません。園長を目指す場合は、一種免許状を取得する必要があります(5年以上の実務経験、必要単位の取得)。

「保育士」は、専門学校・短大・大学を卒業していなくても、保育士国家試験に合格すれば資格を取得できます。しかし5年以上の実務経験や大学に2年以上在籍など条件がある上に、合格率は約20%と難関です。

ちなみに、幼稚園教諭免許と保育士資格の両方を所得していると、保育教諭として認定こども園で働くことができます。

おわりに

職種別に給与(月給)を見てきました。

ただ、実際は地域や園によって大きく異なります。また、業務内容、勤務時間、人間関係など転職する上にはいろいろな条件が重なるので、それらを踏まえて転職先を検討しましょう。