「公立保育園」と「私立保育園」はどちらが働きやすい? 現役保育士が語る、メリット・デメリットとは?

「公立保育園」と「私立保育園」はどちらが働きやすい? 現役保育士が語る、メリット・デメリットとは?

 保育士が保育園で働こうと考えた時、大きくわけて「公立保育園」と「私立保育園」がありますが、どう違うのでしょうか。給与や待遇、働き方、メリット・デメリットを比較してみました。両者の保育園で働いた経験を持つ現役保育士に聞いた体験談も、ぜひ参考にしてください。

公立の保育士は地方公務員
採用数が少なく、就職するのは狭き門

そもそも「公立保育園」と「私立保育園」では、運営母体が違います。「公立保育園」は、地方自治体が運営を行い、「私立保育園」は、社会福祉法人や株式会社、NPO法人、個人などが運営しています。

なお最近は、公立保育園ですが、民間に運営を委託している場合も増えています。民間に委託しているケースは、通常の私立保育園で働くのと同一条件となります。

公立保育園」の保育士は、地方自治体に採用された地方公務員でもあるので、地方自治体による保育士採用試験に合格しなければいけません。ただし、試験に合格したからといって、すぐに働けるわけではなく、採用候補者として登録され、対象の公立保育園で欠員があった場合、施設からオファーがあり、初めて採用となるのです。

自治体により違いがあるものの、採用試験には年齢制限があり、多くは30歳までとなっているようです。また、毎年採用試験があるとは限らず、試験の時期や募集人数なども各自治体によって異なります。そのため、就職率は10~20倍と狭き門という地域もあるようです。公立保育園の保育士になりたい場合は、こまめに希望する自治体のホームページをチェックし、早いうちから試験を受けることをおすすめします。

 一方で、「私立保育園」の保育士は、それぞれの保育園や本部が採用をしており、通年採用しているケースも見られます。一番採用が多い時期は4月なので、就職活動はその数ヶ月前から行うといいでしょう。

公立は給与・賞与が高い
私立には家賃補助がある場合も!

では次に、気になる給与や待遇面を比べてみましょう。

「全国の保育士」と「公立保育園」の収入比較

  平均年令 月の給与(残業など込み) 年間賞与など 年収
全国の保育士(※1) 35.8歳 23.0万円 66.8万円 342.1万円
公立保育園の保育士(※2) 46歳 32.2万 184.1万円 683.0万円

※1:厚生労働省2017年 賃金構造基本統計調査より計算
※2:平成30年度 練馬区人事行政の運営等の状況の公表

公立保育園と私立保育園の保育士では、かなり年収に差があることがわかります。平均年齢の違いもありますが、公立保育園の保育士の年収は、私立の「ほぼ倍」という圧倒的な差があります。

さらに、公立保育園の保育士は地方公務員であることから、多くは勤続年数によって昇給し、給与や賞与も年々上がっていくといえるでしょう。

一方、私立保育園は運営母体によって、大きく異なります。

実際に、公立保育園と私立保育園で働いた経験のある現役保育士Aさんによると、「比較的、福利厚生がしっかりしている私立保育園は、給料も高く、ステップアップ率も高い」といいます。

そのため、実力次第では私立保育園の保育士のほうが、公立保育園よりも年収が上回る場合もあるかもしれません。

また、自治体により、私立保育園の保育士に対して家賃補助や給与補助を設けている場合もあります。

※参考になる記事  保育士向け「家賃補助」「給与補助」の実態は? 東京23区の家賃補助ランキング1位は千代田区の13万円!

福利厚生について

福利厚生についてはどうでしょうか。

公立保育園の保育士は、厚生年金や社会保険、健康保険などへの加入や、産休や育休制度など福利厚生が整っています。とくに、年金は基礎年金と厚生年金の他、公務員には退職共済年金もあるので、老後の生活への安心もあります。 私立保育園の場合、以前は社会保険未加入などもあったようですが、今は保育士の待遇改善が進み、社会保険完備、産休や育休が取りやすい環境など福利厚生がしっかり整っている園も増えているのが現状です。

保育園により業務内容が異なる私立
公立は業務が細分化

保育方針、勤務時間、異動などの違いをみてみましょう。

保育士として「子どもを保育する」という点では、公立も私立も差がありません。ただし、私立保育園は、英語など教育に力を入れていたり、運動に特化していたりなど、園ごとに保育方針が異なり、業務内容も違ってきます。その分、保育士の裁量が問われるため、やりがいやスキルアップにつながるといえるでしょう。

また、保育園にもよりますが、スマートフォンを使った連絡帳など、新しいシステムを取り入れ、保育士業務の負担を減らしている園もあるようです。

一方、公立保育園では、各地方自治体により決められた保育方針があり、それに沿った業務になります。比較的保守的で、これまでの保育業務を継続している場合が多いので、新たなシステムや、現場での意見が取り入れられることは少ないかもしれません。

先ほどの現役保育士Aさんは、次のように話します。

「公立保育園では、業務が細分化されていることが多いですね。行事に関しても、担当する月が決まっていて、さらに内容も細かくわかれています。そうすることで、作業する時間が確保でき、丁寧な作業にもつながるからです」

ただし、公立保育園では、経費削減のために、行事で使うアイテムなどは手作りする場合が多いと言います。

異動が定期的にある公立保育園
私立の小規模園はキャリアアップに難

勤務形態や、職場の異動はどうなっているでしょうか。

公立保育園の保育士は、およそ3~4年に一度、異動があります。そのため、せっかく慣れ親しんだ保育園でも離れなければならず、子どもたちの成長を最後まで見守れない場合も。また新しい園では、一から人間関係を築かなければいけないので、ストレスを感じることもあるでしょう。

ただし、自治体の中での移動なので、さほど遠くに行かされることはなく、保育内容も同じなので、比較的仕事はしやすい環境といえるでしょう。なお、自治体によっては、保育現場ではなく、保育課や子育て支援センターなどの異動になる場合もあるようです。

私立保育園の場合、系列の保育園がないという保育園も多く、その場合はずっと同じ職場にいることになります。また、人が固定化している場合、主任保育士や園長になりたいなどキャリアアップを考えている場合、なかなか昇格するのは難しいかもしれません。

公立保育園は残業は少なめ
私立は、サービス残業は減少傾向

勤務時間については、公立、私立保育園とも、シフト制で7~8時間勤務の場合がほとんどです。ただし、私立保育園では、人手不足から、早朝や延長保育などの手伝いで、残業になることもあるようです。

近年、サービス残業は減ってきたものの、各園によって「残業代が出る基準」はかなり違うようです。

先ほどの現役保育士Aさんによると、「例えば、18時までのお迎えの場合、保護者が遅れると連絡をしてきて、18時30分にお迎えにきたら、その分、残業代がつきます。でも、お迎えには18時に来ていて、保護者と話をしていて18時30分になってしまったら、残業代がつかない園もありました」といいます。

残業の管理についてはまだ手書きもありますが、タイムカードを導入している園も増えてきました。

なお、公立保育園では、夕方や早朝、夏期休暇などの期間には臨時職員を雇用していることが多く、緊急を要する場合以外は、残業になることは比較的少ないでしょう。

保育士としての勉強になる公立
私立なら数年で主任レベルにも

では、公立保育園と私立保育園、どちらが働きやすいのでしょうか。

現役保育士Aさんは、次のように話します。

「公立保育園には、ベテランの先生がたくさんいるので、とにかく学べることが多いと思います。経験を重ねた先生は、子どもたちへの言葉のかけ方など、引き出しをたくさん持っていて、子どもたちは、やはり、そういう先生に興味がわくものです」

保育士としてのスキルを磨きたいという場合は、いろいろな先生と出会え、ベテランの先生からスキルを学べる公立保育園がおすすめでしょう。ただ、やはりベテランの先生は、目の上のたんこぶといいましょうか、その下では働きにくい部分もあるかもしれません。

一方、私立保育園には、ベテランの先生があまりいないため、若い方にとっては働きやすい環境ではあるようです。また、系列園が多い保育園であれば、3年ほどで主任レベルに昇給できるので、やりがいを感じることも多いでしょう。ただし、経験が浅い分、それが重圧になってくる場合も。そうならいないためには「0歳児クラスを一度経験しておくと、赤ちゃんの対応もでき、自信につながるものです」(先述のAさん)といいます。

転職サイトは複数登録すべき

それでは、実際に転職を考える際は、まず何をすればいいでしょうか。最初に取り組むべきなのが、「転職サイト」に登録することです。主要な転職サイトであれば、一人一人の保育士にコンサルタントがついてくれ、希望に沿った保育園を紹介してくれます。保育園の様子や勤務実態についても、転職サイトを通じてヒアリングできるのでぜひ登録したいものです。

それも1つの転職サイトだけでなく、複数のサイトに登録するのがオススメです。下記の「主要な保育園転職サイトを比較」を見ればわかるように、登録している保育園数には差があり、1つのサイトに登録しているだけでは、現在募集中の保育園全ての情報を見ることができないからです。また、サイトによって得意な地域、苦手な地域があったりするので、複数のサイトに登録すれば、最適な保育園に出会える確率が高まります。

なお、ハローワークでも転職・就職情報を見ることができますが、登録している件数が少ないので、これだけで転職活動をすることはお勧めしません。

転職を考えるのなら、複数の保育士転職サイトに登録して、転職先を探してみるのがいいでしょう。実際、多くの転職希望者が、複数の転職サイトに登録しています。

「求人数はどこが多い?」保育士転職サイトを比較(東京)

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大田区 265件 195件 366件 270件 277件
江東区 210件 134件 261件 200件 212件
板橋区 216件 139件 250件 164件 176件
 

※2018年9月〜12月にかけて調査した公表求人件数