保育士向け「家賃補助」「給与補助」の実態は? 東京23区の家賃補助ランキング1位は千代田区の13万円!【2023年度版】

保育士向け「家賃補助」「給与補助」の実態は? 東京23区の家賃補助ランキング1位は千代田区の13万円!【2023年度版】

保育士の人材確保や離職を防ぐために、「宿舎借り上げ支援制度」(家賃補助)が実施されているのを知っていますか? 実は、家賃補助の金額は各自治体によって違いがあります。また、家賃補助のほかに、給与補助を設けている自治体もあります。特に家賃補助が手厚い「東京23区」を全て調べてみたので、その違いを確認してみましょう。

23区の家賃補助ランキング1位は千代田区
最大で月額13万円を補助

 「宿舎借り上げ支援制度」(家賃補助)とは、保育事業者(保育園)が借り上げたアパートやマンションなどの物件に住んだ場合、自治体が補助金を出す制度です。

東京都では、1戸あたり月額上限8万2,000円を基準としているものの、各自治体では上積みの給付を行なっているところもあり、上限や規定が異なります。なお、上限額の7分の8を自治体が支給し、1分の8は、事業者(保育園)が負担するという制度になっています。

 こうした事業者側の負担がある制度のため、「宿舎借り上げ支援制度」を導入している保育園でないと、家賃補助を得られません。また、保育園によっては、家賃は無料ではなく、保育士から一定の自己負担(1万円〜2万円程度)を取ることもあります。

 一方で、保育園によっては、保育園独自の家賃補助や社宅を用意しているケースもあります。

 そこで、東京23区の家賃補助金額を調べてみました。

東京23区の「家賃補助」ランキング(一覧)
順位 自治体名 家賃上限額 物件
1位 千代田区 月額13万円
(千代田区内に限る)
千代田区外でも可能だが、家賃補助は月額8万2,000円
2位 港区 月額11万2,000円
(港区内に限る)
港区外でも可能だが、家賃補助は月額8万2,000円
3位 渋谷区 月額10万円
(渋谷区内に限る)
渋谷区内に住むことが原則
4位 目黒区 月額9万2,000円
(目黒区内に限る)
目黒区外でも可能だが、家賃補助は月額8万2,000円
5位 中央区 月額8万2,000円
5位 新宿区 月額8万2,000円
5位 文京区 月額8万2,000円
5位 品川区 月額8万2,000円 品川区内に住むことが原則
5位 大田区 月額8万2,000円 大田区外でも可能
5位 世田谷区 月額8万2,000円 世田谷区外でも可能
5位 台東区 月額8万2,000円 台東区内に住むことが原則
5位 墨田区 月額8万2,000円 墨田区内に住むことが原則
5位 江東区 月額8万2,000円 江東区内に住むことが原則
5位 荒川区 月額8万2,000円 荒川区内に住むことが原則だが、例外が認められる場合もある
5位 足立区 月額8万2,000円 足立区内に住むことが原則
5位 葛飾区 月額8万2,000円
5位 江戸川区 月額8万2,000円 江戸川区内以外でも可
5位 中野区 月額8万2,000円 中野区内に住むことが原則だが、30分以内の通勤なら区外でも可
5位 杉並区 月額8万2,000円 杉並区外でも可能
5位 豊島区 月額8万2,000円 豊島区内に住むことが原則だが、場合によっては区外も可
5位 北区 月額8万2,000円 北区内に住むことが原則だが、1時間以内の通勤なら区外でも可
5位 板橋区 月額8万2,000円 板橋区内に住むことが原則だが、例外が認められる場合もある
5位 練馬区 月額8万2,000円 練馬区内に住むことが原則だが、通勤範囲なら区外でも可

※2023年7月調査

 ほとんどの区が上限を月額8万2,000円としていますが、区として独自に上限を引き上げているところもあるので確認していきましょう。

東京23区の家賃補助ランキングで1位は、千代田区

千代田区内に住居すれば、月額13万円を上限に家賃補助を受けることができ、借料(家賃)だけでなく、共益費(管理費)、礼金、さらに更新料も補助の対象になります。千代田区のワンルーム・1K・1DKの平均家賃は10万7,500円(出典・東京23区住みやすさランキング)と高額ではあるものの、補助金額内で物件を探すことができそうです。なお、千代田区外に住んだ場合も家賃補助を受けることができますが、月額8万2,000円と減額になります。

 家賃補助ランキング2位は港区です。港区内に住めば上限月額11万2,000円、港区外なら月額8万2,000円まで補助を受けることができます。また、賃借料(家賃)だけでなく、2ヶ月分の礼金も補助の対象になるのは嬉しいですね。港区のワンルーム・1K・1DKの家賃相場は11万8,700円と23区の中で最も高いのですが、補助を活用すれば、少ない自己負担で住むことができるでしょう。

渋谷区の家賃補助は月額10万円
転居費用も15万円まで助成

 23区の家賃補助ランキング3位は、渋谷区。渋谷区内に住むことが原則ではあるものの、月額10万円までの家賃補助に加え、礼金2カ月分(月額上限10万円)、さらに引っ越し費用も15万円まで助成してくれます。

 23区の中で、引っ越し費用も助成しているのは渋谷区のみといえるでしょう。

 また、目黒区も東京都の基準に上乗せし、目黒区内に住めば、月額9万2,000円まで家賃補助を受けられます。目黒区には、人気の街・中目黒があり、ワンルーム・1K・1DKの平均家賃が9万5,900円とやや高めであるので、この補助額は嬉しいですね。

都内であれば、月額8万2,000円の家賃補助
エリア、雇用年数、実施期間はバラバラ

 その他の区では、月額8万2,000円の家賃補助が受けられます。ただし、物件のエリア、雇用年数、実施期間など、自治体により規定はさまざまです。また、多くの自治体では、「他人との同居」の場合は対象外ですが、江戸川区と品川区では、シェアハウスなども対象にしているようです。

 なお、繰り返しになりますが、「宿舎借り上げ支援制度」は、自治体が保育園の事業者に補助金を交付するものであって、保育士本人に補助金が出るというものではありません。そのため、一定の自己負担(1万円〜2万円程度)が発生する場合もあります。

 また、各保育園により家賃補助の金額は違い、物件も「自由に探せる」「保育園が提携している不動産会社から選ぶ」「保育園指定の物件がある」「自己負担金がある」など、さまざまです。そのため、就職を考えている保育園には、問合せてみることをおすすめします。

 「参考になる記事」 東京23区で保育士の給料が高いのはどこ?「月給ランキング」で正社員の給与の相場を知ろう!

自治体独自に給与補助も実施
江戸川区では月額5万円を支給

 保育士をサポートするために、家賃補助の他に、「給与補助」などの手当てを支給している自治体もあります。

江戸川区

江戸川区では、最大月額5万円相当(区独自の補助1万円相当と、東京都キャリアップ補助4万円相当)が給与に加算されます。ただし支給金額は、経験年数や本人の業績など、保育事業者によってさまざま。また、受給方法も月給に加算、ボーナス払いなど保育事業者によって異なります。

千代田区

手厚い家賃補助に加え、さらに月額1人3万円の給与補助も行っているのが千代田区。ただし、自治体が保育事業者に補助金を交付するため、保育園によっては保育士に全額加算されない場合もあるようです。

大田区

大田区は「保育士応援手当」として、区内の私立保育園に常勤で勤務する保育士に対し、月額1万円を支給。6ヶ月間の継続勤務実績があれば、経験年数は関係なく、年に2回、6万円ずつ、保育士に直接支給されるのも嬉しいですね。

葛飾区

 葛飾区では、宿舎借り上げ支援制度の対象ではない職員に対し、月1万円を上限として補助を行っています。

新規採用者だけの支援もあり!
杉並区は、区内共通商品券5万円分を贈呈

 その他、各自治体では、新規採用者に限り、独自の支援を行っています。  詳細は以下の通りです。

杉並区

 杉並区内の認可保育園、地域型保育事業、認証保育所、委託型保育室に常勤保育士として新規採用された場合、区内共通商品券5万円分(500円券を100枚)が贈られます。

江東区

「江東区保育園就職フェア in Koto」に参加した保育士が区内の保育施設に就職した場合、区内共通商品券(3万円相当)を贈呈(次回は令和5年9月30日に開催予定)。

江戸川区

 江戸川区内の保育園に常勤の保育士として採用されると、就職祝い品として区内共通商品券5万円分が贈られます。

中野区

 中野区内の保育施設に常勤保育士として就職した場合、10万円の奨励金、または支給対象経費として認められた金額の合計額のうち、低い金額を支給。経費には、保育士の資格取得のために要した学費やテキスト代、就職に伴い転居が必要になった際の費用、転居時に購入した家具や家電、保育施設に通勤するための自転車なども対象になります。 

千代田区

 区内に新設される認可保育園に配属予定の雇用職員または内定者に対して補助金制度を設けています。雇用職員には、開設前の6か月間、月給(上限30万円)と諸手当の補助を、内定者には研修や実地演習などを行った場合、資格保持者なら時給上限1,500円(資格取得見込者は時給上限1,400円)の補助が受けられます。

新宿区

 保育士資格を取得するための経費の一部の補助を行っています。

荒川区

 日本学生支援機構などの奨学金を利用して保育士資格を取得し、荒川区内の私立保育施設(認可保育園、認定こども園、認証保育所、小規模保育事業)に保育士として就職すると、奨学金を返済するために要した費用の一部を補助。

足立区

 日本学生支援機構などの奨学金を利用して保育士資格を取得し、足立区内の保育施設(認可保育園、私立認定こども園、認証保育所、小規模保育施設、公設民営認可外保育施設)に常勤保育士として勤務すると、奨学金を返済するために要した費用の2分の1(上限10万円/年)を支給しています。

23区は、保育士確保へ各種施策を実施
自治体のホームページなども参考に!

 保育士の給与は安いと言われていますが、各自治体ではさまざまな対策を行い、少しずつ改善の方向へと向かってはいるようです。

また保育士に対する自治体独自の支援策は日々、追加・更新されています。保育園に就職・転職する際には、求人サイトなどで提示されている給与だけではなく、本サイトの月給ランキングを参考にしたり、自治体や保育園にも問い合わせたりして、情報を収集しましょう。

「参考になる記事」 そもそも保育士の給与はいくらが平均なの? 平均年収342万円で、看護師より100万円以上少ない

(マメ知識)保育士転職サイトは複数登録しよう!

 保育士が保育園の転職、求人情報を探すなら、複数の転職サイトに登録することが大切です。どこも登録は無料です。主要な転職サイトでも、登録している保育園数、得意なエリアは違います。

 

                            

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