令和の保育園のお昼はこんなふうになってほしい。幼児食インストラクターが思うこと【小阪有花さん連載33】

令和の保育園のお昼はこんなふうになってほしい。幼児食インストラクターが思うこと【小阪有花さん連載33】

ここ数年で保育園での教育はガラリと変わった気がします。集団保育から、自由保育になり、一人一人の意見を尊重できる環境を目的に、お散歩にいくもいかないも自由にえらべたり、横割り保育から縦割り保育へと変わったり。保育園も時代にあわせて進化しているのだなと感じます。それは「お昼ご飯」も例外ではありません。今回は、令和の保育園のお昼はこうあるべきという思いを、幼児食インストラクターでもある私がお話ししたいと思います。(小阪有花)

ご飯とおかずをごちゃまぜにして食べるのは控えましょう

 好き嫌いがある子どもは保育園にもたくさんいます。お母さんもそれに悩んでいるので、どうにか良い報告をしてあげたい気持ちもわかります。しかし、ご飯やおかずを混ぜてしまったり、スープご飯にして全部食べさせようとするのはやめましょう。

スープご飯にすると離乳食に近づくので子どもは食べやすいですし、嫌いなものがあっても混ぜてしまえば分からずに食べてしまう時もあります。

しかし、この方法では嫌いな食べものの克服にはつながりにくいのが現実です。むしろ嫌いなものを中から発見したらもうそれに手をつけなくなってしまうリスクがあります。

 全部食べてほしいという気持ちも分かりますが、やはりここは、たとえ嫌いなものを残されてしまっても、別々に食べさせ、食材そのものの味を感じてもらいましょう。

味覚が成長すれば自然に食べれるものも増えるので、焦らず向きあいましょう。

ご飯とおかずをごちゃまぜにして食べるのは控えましょう

好きなもので嫌いなものを隠して食べさせるのはリスクも

これは、スプーンの上に子どもの好きなものをのせ、その下に嫌いなものを隠す方法です。そうして食べてくれた後に、「よく食べられたねぇ!」とコミニケーションをとる姿はほほ笑ましく、一概に悪いことだとは決して思いません。しかし、それは成功した場合の話です。

 このやり方はだいたい失敗し、子どもは口にしたものをベーッと出してしまいます。好きなものだと思って食べたのに、嫌いなものが入っていたら、吐き出したくなる気持ちも分かりますよね。

よかれと思ってしている行動ですが、この行動は子どもをダマしていることにほかなりません。何度もやりすぎると、子どもは警戒心から食べる意欲を削がれてしまったり、「また嫌いなものが入っているかも……」と疑心暗鬼になって食べてくれなくなるリスクもあります。

挑戦したくなる気持ちはわかりますが、ほどほどにしておきましょう。

ベェっとだしてしまったことの原因を考えずに叱らない

子どもは口から食べものを出してしまう時があります。これをするとだいたい子どもは怒られます。原因はだいたい大人が無理して食べさせた場合が多いです。

子どもだって好きで口から出しているわけではなく、どうしても食べられないと、無意識にだしてしまう場合もあります。子どもを注意する前に、原因を考え、無理に食べさせてしまっていなかったか、考えてみましょう。

出してしまったときは、「食べられなかった?どうして出しちゃったか教えてくれる?」など、子どもに聞いてみてください。笑っている場合はふざけた可能性があるので注意がいりますが、深刻そうにしていたら、とても嫌なことをされたと感じている時です。

もしかしたら味覚が育っていないため、危険物と本能で感じて無意識に出してしまったかもしれません。親が食べている姿を見せてあげるなどして寄り添ってあげてくださいね。

ベェっとだしてしまったら叱ること

無理に食べさせず、ご飯の時間は伸ばしすぎない

みんなが食べ終わって、お着替えなどが始まっているのに、最後の一人になっても嫌いなものが食べられず、ごちそうさまができず……。この姿は本当に寂しい光景です。

 本人が、「まだ食べる!」と頑張っているなら良いのですが、園によっては、「これだけ食べたらごちそうさまね!」と言って、ある程度食べ終わらない限り、ご飯を終わらせてくれないこともあります。

 最初はみんなで食べて楽しかったのに、最後は孤食になってしまう。こんな状況にさせられてしまうと、「この寂しい時間の原因は嫌いな食べもののせいだ」と、ますます嫌いになってしまう可能性があります。

 大人になって小さい時の話をすると、「嫌いなものが食べられず、自分だけ遊べなかったのが嫌だった」。そんな話をする人も実は少なくないのです。

無理に食べさせようとせず、子どもと話し合いながらご飯の時間は伸ばしすぎないようにしましょう。

嫌いなものを食べたら、喜んであげる

 食事中、ボーとしていることを注意される子どもをたまに見ますが、あれはボーっとしているではなく、どうしたら嫌いなものを食べなくていいかを考えている姿に見える時があります。

 好き嫌いはない方が良いし、なくなった方が良いのは分かります。

 しかし、だからと言って、食べられるまで終わらせないとなっては、ご飯の時間そのものを億劫にさせてしまう原因にもなりかねないので、あまり力まないであげてください。

 食べてほしい気持ちは、子どもにも伝わっています。たまにですが、嫌いなものも食べてくれる時もあるものです。その時はオーバーリアクションで喜んであげましょう。

 とはいえ、今日うまくいったやり方が明日も通用するとは限りません。

だからこそ、結果ばかりを追いかけないで、まずは楽しくご飯を食べましょう。

 「ご家庭でも、保育園でも、みんなで食べるご飯はおいしいな。ご飯の時間は楽しいな」

この気持ちをどうか大切にしてあげてほしいと思います。

小阪有花

【小阪有花】2004年 ミスマガジンから芸能界へ。2009年に芸能引退後、保育コンサルを経て、2020年 総合制作会社cheer lead を設立。