「保活」は、妊娠中から始めないとダメ!? 保育園に入れない「待機児童問題」がなかなか解消できない中で、希望の保育園に子どもを預けるには、早め早めの行動が大切。そこで、妊娠中からもできる「保活」について6つのノウハウとスケージュールをお伝えします。(ライター・松原夏穂)
ノウハウ1
<妊娠したら、役所で保育園の状況を聞こう>
妊娠が分かると、母子手帳を役所に取りに行きます。その際、せっかく役所まで行くのに、すぐに帰るのはもったいない。役所の保育課(または福祉課)に寄り、地域の保育園状況について聞いてみましょう。といっても、第一子の妊娠初期は保育園情報については素人。いきなり各園の詳細を聞いてもピンと来ないので、まずは入園案内などの必要書類をもらい、自宅でしっかり「予習」しましょう。
最終的には保育園を見学に行くことをオススメしますが、その前にパンフレットやサイトで基本知識は得ておきたいもの。その際、以下の手順でチェックしましょう。
①保育園の種類・数・場所、選考方法、申込み時期※1、保育料など、「保活」全般にかかわる概要をチェック。中には地域独自の制度もあるので、見落としのないように
※1多くの自治体は4月入園が基本で、申込みは前年の9月から12月(一次申し込み)。12月以降に出産の方は、二次申し込みの機会がありますが、待機児童が多い自治体では二次だけでは入園は難しいでしょう。
②大まかに候補になりそうな園(なるべく多く)を選び、それらの園の場所・アクセス、保育時間、受け入れ年齢(月齢)、募集人数など、個々の園にかかわる概要をチェック
③興味を持った園は、園の保育方針、給食や行事についてなど更に詳しくチェック
実際に見学できる園数は限られています。だからこそ効率良くいきたいものです。
ノウハウ2
<安定期には、保活を開始>
人によりますが、安定期に入ってたら、無理のない範囲で行動開始。再度、役所の保育課に足を運びます。下調べをしておけば、「A園とB園とC園の情報を教えてほしい」と具体的な相談ができます。「A園は耐震工事をして安心」「B園は園長が交代した」「C園は割と入りやすい」なども教えてくれるかも。そういった情報を元に、徐々に見学する園を絞っていきます。
なお、役所に行く時には、手ぶらで行ってはいけません。
「第一子妊娠し、安定期に入った頃に区役所の保育課を訪ねました。その際に夫婦それぞれの源泉徴収票を持参し、入園に必要な指数(点数を確認してもらいました。前年度の実績だと△点で○○保育園に入れました等も、教えてもらいました」(子育て経験のあるママ)
そう、源泉徴収票を持っていくべきなのです。
認可保育園への入園の際、役所は保護者の就労状況や家庭の状況などから、保育を必要とするかどうかを判断するため、保育所等利用調整基準により各家庭を指数化(点数化)し、その指数の高い方から入園内定者としています。この指数は公表されていますが、自身の家庭が何点か、イマイチ分からないもの。源泉徴収票を役所を持参して、客観的に判断してもらうのは良いですね。
ノウハウ3
<可能な限り、妊娠中に保育園見学を>
産後、首の据わらない赤ちゃんを連れての保育園見学は一苦労。可能な限り妊娠中に保育園見学をしておきましょう(ただし中には、産後しか見学できない園もあります)。その際、自宅からの所要時間を計っておきます。見学自体は、悪天候だと受ける印象が暗くなりがちなので、晴れの方がいいのですが、無理なく通えるかどうかは、日を改め敢えて雨の日に行くと、いい判断材料になります。
見学する時間は、子ども達が遊んでいる様子を見ることができる、お昼寝前の午前中がおススメです(保育園側からこの時間を指定されることが多いです)。
「何園見学すれば良いか」というのは悩みどころです。
地域によって入園希望を記載する欄が異なるので、それが埋められる数が理想。例えば第6希望まで書けるのならそれ以上の保育園を見学、というように。妊娠中に、希望園欄を埋められるといいですね。なぜなら、産後は「書き物」をするのが、至難の業だからです。産後、お散歩ができる時期になったら子どもを連れて再度見学。改めて、無理なく通えるか検討を。実際に園庭開放や一時保育などを利用してみるのも、良いでしょう。
ある保活で苦労したママは次のように話しています。
「(役所に相談後、)希望する7園に電話し見学の予約を入れました。見学は臨月くらいまでかかりました。品川区独自の制度である育児休業明け入園予約制度※3を活用したのですが、申し込み期限が出産した翌月末でバタバタするので、出産前に第6希望まで確定しておいて、出産後は区役所にすぐに手続きできるよう準備しておきました」
見学には思いのほか時間がかかり、早めに動くことが大切ということを実感させられます。出産前に書類が揃っていると、落ち着いてお産に臨めます。重複しますが、産後1カ月は頭を使う作業は、本当できないのです。特に、11月以降に出産の方は、翌年4月入園の締め切りは12月が多いので、周到に準備しておく必要があります。
※3品川区独自の制度。区内在住で子どもが1歳になる誕生日の前日(もしくはそれ以降)まで育児休業を取得後、育児休業前と同様の勤務を復職する保護者が復帰月からの入園を事前に予約できます。 http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/PC/kodomo/kodomo-hoyou/kodomo-hoyou-hoikuen/hpg000004250.html
ノウハウ4
<子供が長時間過ごす場所だから、見学は必須>
「保育園は幼稚園と違って自由に選べないのに、見学する必要あるの?」という意見もあります。
実際、筆者が保育園について区役所に相談に行った際、「見学は必ず行ってください。毎年、見学せずに決めて、『思っていたのと違うから転園したい』、と言う相談があります」と言われました。見学に行くのは当然と思っていたので、驚きでした。
また、「公立保育園はどこも似たようなものだと思っていたけど、見学したら園ごとに雰囲気が違った」という声も聞きました。公立保育園も2園以上は見て、比較しましょう。追加するなら、公立・私立保育園と見比べることも大切です。
保育園は、子どもが長時間過ごす場所で、初めての「社会」。だからこそ、親の目からみて安心して預けられるところか、見学して確かめましょう。
(参考になる記事はこちら) 保育園見学は絶対必要!経験からわかった見学のポイントとは?
ノウハウ5
<認可保育園がダメだったら…。認可外保育園も視野に入れて>
保育料のことを考えると、認可保育園が理想的。でも、必ず入れるとは限らない。併せて、認可外保育園も探しておくと「保険」になります。一口に認可外と言っても、園によって特徴は様々。子どもに寄り添った素晴らしい保育をしている園もたくさんあります。また、居住・勤務先以外の地域でも入園が可能です。
ちなみに、東京都の「認証保育園」や横浜市の「横浜保育室」などは、「認可」ではありませんが、それに近い保育を提供しています。
認可保育園は一括して自治体に申し込みますが、認証保育園などの認可街保育園は直接申し込むので、それぞれの保育園に申し込む必要があります。
ノウハウ6
<緊急事態に備え、保育園以外の預け先も確保>
無事入園しても、最初のうちは何かと病気をもらってきます(年々、健康になりますが)。病気だと、保育園は当然預かってもらえません。でも、仕事は休めない。そんなときのために、病児・病後児を預かってくれる施設を、事前にリサーチしておきましょう。
しかしこれらは事前予約が多く急な対応が難しいことも。自治体のファミリーサポート(登録無料)、値段は高くなりますがベビーシッター会社に登録をするなど、複数の預け先を確保しましょう。夫と事前に、子どもが病気になったときの計画も立てておくのも大切です。夫婦の両親にお願いする選択肢もありますが、先方にもそれぞれの生活があるので、負担をかけないよう気遣いを忘れずに。
保育園以外の預け先を確保すると、ママの心に余裕が持てます。
この記事を書きながら、「保活」は妊娠中からできることも、多いのだなと実感しました。産後、ママが子どもと触れ合う時間を大切にするためにも、妊娠中からできることは無理なく進め流というスケジュール感で準備をしていくのがいいでしょう。
(参考になる記事はこちら) 出産は4〜5月がいい? 待機児童にならないための「10の保活テクニック」を紹介