子どもの保育先を考えるとき、幼稚園と保育園のどちらに通わせるか、保護者は迷うものです。今回は、幼稚園と保育園の違いをママたちに実際に語ってもらいながら、その違いを比較してみました。(ライター・松原夏穂)
幼稚園と保育園の違い
幼稚園も保育園も、未就学児のための施設です。ですが、その目的や保育対象者や保育時間などで、異なる点がいろいろあります。
子どもの教育の場である幼稚園と、生活の場である保育園。ただ、最近は働くママが増えたため、変化が見られます。
幼稚園では、降園後に希望者を別途預かる「預かり保育」を実施している園が増えています。保育園では、読み書きや英語などの教育に力を入れている園(主に私立)が増えています。
「保活」という言葉ができるくらい、認可保育園への入所は困難(最近は少し緩和されましたが)。預かり保育のある幼稚園が認可外保育園とともに、待機児童の受け皿になっている状況です。
以下で、ママたちが感じた保育園と幼稚園の違いを、紹介します。
保育園と幼稚園に子どもを通わせたママの体験談
保育園と幼稚園に子どもを通わせた、3児のママAさん。子どもは長男(小学2年生)、長女(年長)、次男(2歳)です(2021年現在)。
長男は卒園まで保育園に通いました。長女は年中の途中まで、保育園に通っていました。
しかし、2021年1月、東京都内から夫の退職により地方に移住。求職中の夫と育休中のAさん。コロナ禍で再就職が難しい状況の中、保育園に預けても3か月で仕事が見つからなければ、退園になってしまうため、幼稚園に入園。
選んだ決め手をたずねると、
Aさんに保育園との違いも含めて、幼稚園に通わせてのよかったこと、大変だったことを質問しました。
よかった点は、
- 体操や音楽、読み書きなどの教育面がしっかりしているところです。保育園卒の長男は、1年生の入学当初大変そうでした
- 制服や備品の購入でお金はかかりましたが、その分私服をあまり買わなくなったので、よかったかも
- わが家は使っていませんが、送迎バスがあるから遠方でも通える
大変だった点は、
- 預かり保育が、18時までしか預かってもらえないこと
- 長期休暇時期は預けられるけど、追加料金が発生するため料金が高くなること
- 運動会などの振替休日や、半日保育の日があること
- お弁当が週2回あること
とAさん。実は、夫は専業主夫。家事と育児を一手に引き受けています。葛藤もありましたが、誇らしくしている夫を見て、夫婦の形はそれぞれだと実感しているようです。
ちなみに次男は認可外保育園に通園。年少に上がるタイミングで幼稚園に転園予定です。
自宅から近い方が、災害などがあったときに安心なので、とのことでした。
子ども達を幼稚園に通わせた、元保育士ママの体験談
保育士の転職体験シリーズでお話を伺った、コーチング講師の真理さん(参考:保育士から女性向けのコーチングの道へ)。
保育園で8年間勤務した後、結婚出産で退職。長男(小学3年生)と長女(小学1年生)は、幼稚園を卒園しました(2021年現在)。真理さんには保育士の視点も入れつつ、幼稚園に子ども達を通わせた体験談を語っていただきました。
幼稚園は給食が週1回選べたものの、子ども達があまり好まなかったこともあり、ほぼ毎日お弁当を作っていました。
当初専業主婦だった真理さんは、その後パートの保育士とコーチング講師を始めます。それにあたり、預かり保育を利用しました。ただ、小規模園のため利用者が少なく、自分の子だけの日もありました。
長期休みでも預かり保育を実施していましたが、利用日が限定されていました。
一般的に保育園は閉園時間まで『保育』をしますが、幼稚園は基本14時以降は、保育時間外。それまでの職員配置や環境でなくなることが多く、疑問や不安が生まれたこともありました。『幼稚園に入れながら働ける範囲』というのは、その園によるなと正直感じました
また、真理さんの長女は、2歳児から幼稚園に入園しました。
長女の入園を機に仕事を再開した真理さん。2歳児クラスと預かり保育は、真理さんの大きな転機になったようです。
おわりに
預かり保育のある幼稚園は増えているとはいえ、仕事をするにあたり保育園と同じ預かり方を望むのは難しいようです。
ただ、親御さんの働き方が多様化している昨今、「フルタイム通勤あり」という、保育園であれば必須とも言える条件を満たしていなくても、子どもを通わせられる幼稚園は、安心できる場所であると思います。
以下は幼稚園と保育園の違いを一覧表にまとめたものです。参考にしてください。
幼稚園 | 保育園 | |
---|---|---|
管轄 | 文部科学省 | 厚生労働省 |
種別 | 教育施設(学校教育法) | 福祉施設(児童福祉法) |
教育・保育内容 | 幼稚園教育要領 | 保育所保育指針 |
保育者の資格 | 幼稚園教諭免許 | 保育士資格 |
標準的保育時間 | 4時間を標準として、各園で定める | 8時間を原則として、保育所長が定める |
入園可能年齢 | 満3歳から小学校就学前 (2歳児入園可能な園もあり) |
保育に欠けた0歳から小学校就学前 |
入園・入所 | 保護者と園の契約 | 保護者と区市町村の契約 |
保育料 | 私立:園による(減免制度あり) 公立:区市町村による |
区市町村ごとに家庭の所得により設定 |
給食 | 任意(弁当または給食) | 義務 |
入れる条件 | なし | 保育に欠ける状況 |
時間延長 | 預かり保育 17:00頃までの園もあるが、ない園も |
延長保育 8時間の保育時間外(早朝、夜間) |
参考:文部科学省 学校教育法 昭和22年3月29日、文部科学省 幼稚園教育要領 平成29年3月31日、厚生労働省 保育所保育指針 平成29年3月31日