保育士の求人票の基本的な内容は、勤務地、職種、給与、勤務時間、休日、手当、社会保険、福利厚生、賞与、昇給などです。給与、休日などをざっと見ている人が多いでしょうが、読み流しはキケンです! 「こんなはずじゃなかった!」ということにならないよう、チェックすべきポイントをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。なお、応募する人にとってマイナスに感じるようなことが公開されることはありません。求人票にはメリットしか記載されていないということは頭に入れておきましょう。
給与、家賃補助の思わぬ落とし穴とは?
最も気になる「給与」については、給与または基本給のどちらかが記載されている保育園が多いでしょう。給与は、基本給と各種手当が加算されたものなので、ほとんどの場合、支給される金額は基本給より多くなります。また、給与も基本給も、記載された額面から健康保険料や雇用保険料などが差し引かれるので注意しましょう。手取りは、額面から10%から20%ほど差し引かれた金額が目安です。
「賞与」がある場合、2ヶ月、4ヶ月などと明記されているものもありますが、基本的には「基本給」×2ヶ月などと計算します。「給与」×2ヶ月などとは計算しません。
中には賞与2回、3回と回数のみの場合もあります。支給月数が気になると思いますが、面接前に直接確認するのはあまりいい印象を与えないので、避けたほうがいいでしょう。保育士転職サイト、保育士転職会社経由で面接している場合は、聞いてもらうことができます。
また、「経験給」については、手当として金額の幅が記載されていることがあります。「保育士の資格を持っていると1万円プラス」「保育園での勤務経験3年以上は5000円を加算」などと記載されています。ただし、「経験により考慮します」という注釈が添えられていることが多く、実際に経験給をいくらもらえるかを求人票では明確にはわかりません。
「家賃補助」を取り入れている保育園も多くなっています。例えば、東京都による保育士への「家賃補助」は月8万2000円です。東京都内には月10万円の補助が出る区もあります。ただし、この制度を取り入れるかは園に任されているので、求人票に家賃補助などの金額がきちんと書かれていると安心ですね。また、家賃補助はあるけど、一部を自己負担しなければならないケースも散見されます。やはり、保育士転職サイトなどを経由している場合は、聞いてもらうのがいいでしょう。
「交通費」も、「月額20000円まで」など上限が決まっていることがあるので、確認しておきましょう。
「社会保険」は、雇用保険、労災保険、厚生年金保険、健康保険の4つです。社会保険完備というのは、この4つが含まれているということになります。通常、正社員であれば、社会保障は完備されているので、自分で加入する必要はありません。
この他によく見られる手当が、イベントの前などで普段の仕事とは違う負担が発生することに対する「特殊業務手当」、エプロンやTシャツなどの「被服貸与」や「被服手当」、「扶養手当」、「研修手当」などがあります。
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実際の勤務時間、残業は求人票ではわかりにくい
「勤務時間」は、主にシフト制、固定時間制、変形労働時間制の3パターンあります。
・固定時間制:決まった時間で勤務するの
・シフト制:シフトによって毎月勤務時間が変わる
・変形労働時間制:時期的に勤務時間が増加しても、月単位や年単位のトータルで調整できていれば時間外労働とはみなされない
保育士の場合、「シフト制」を取り入れている保育園が大半です。
転職を考えている人が知りたい「残業時間」については、あまり記載されていません。なかには、「時間外労働あり」や「残業月平均12時間」などという記載があり、それを見て選択肢からはじいてしまう人もいると思いますが、残業があっても記載させてくれない保育園があるので、きちんと明記されているというのは、比較的、良心的な保育園なのかもしれません。
また、「みなし残業手当2万円」、「固定残業手当1万円」などという記載は、毎月給与に加算される金額なのですが、規定の残業時間数を超えた場合に限られるという内規を設けているケースが多いのが実態です。残業していても、規定の時間数に満たなければ、残業手当が支払われないということでもあるので、注意したいポイントです。
「休日」は、基本的に「完全週休2日制」と「週休2日制」の2パターンあります。「完全週休2日制」は、必ず1週間のうち2日休めるということです。「週休2日制」は、1ヶ月で最低1週は2日休めるということです。例えば、1週のみ2日休みで、残りの週は土曜を出勤し、日曜のみが休日となった場合でも「週休2日制」と表記できるので、気をつけましょう。
また、「年間休日」という記載もあります。土・日・祝日がすべて休みになると、年間休日は120日ほどになるので、この日数を目安にすると、どの程度、休日があるのか分かるでしょう。
求人票で公開されるのはメリットだけ
求人票には、確かに給与や賞与、休日などの差はありますが、それほど大きな違いは見えてきません。求人票だけを見て転職先を選ぶのは難しく、似たような求人票をたくさん見るほど、目に見える条件に振り回されてしまいがちです。自分のゆずれない条件で候補を3~4園に絞り込んでから、求人票を見ることをおすすめします。
求人票に載っている基本的な内容以外のことを知りたい場合は、転職のプロである保育士転職サイト、保育士転職会社などが力になってくれます。保育士転職会社を利用するつもりでなくても、数社の保育士転職会社に登録し、同じ保育園の求人票を見比べるのもおすすめです。
人材紹介会社の求人票には、定型文や基本的な内容のほかに、園長先生のコメント、人材紹介会社の人のリアルな感想が書かれていたり、独自に撮影された写真が掲載されていたりすることも。
その際、情報量が多い求人票を載せている人材紹介会社は、営業担当が力を入れていたり、こまめに園と連絡を取っていたりするため、園とのやり取りもスムーズに進められるだろうと推測でき、人材紹介会社を選ぶうえでの基準にもなります。
デメリットは書かれていない
なお、人材紹介会社の求人票でも、先ほど述べたように残業時間などデメリットについては公開されないことが多く、先生方の年齢層、そして多くの保育士が知りたいであろう「保育園の雰囲気」などは読み取れません。
だからと言って、残業時間数などを面接前に聞いてしまうと、園にとっては「この人は残業したくない人」などと伝わってしまうことになるので、直接確認するのはやめたほうがいいでしょう。
その点で、保育士転職サイトなどを利用していると、気になる質問を誰の質問かわからないように確認してもらうことができます。
また、面接後などに、労働条件と違う内容があった場合は、気づいた時点ですぐに確認することをお勧めしますが、こういった質問も保育士転職サイトなどを通していると聞きやすいというメリットもあります。保育士転職サイトなどを上手に利用することも、転職活動を成功させる秘訣かもしれません。
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転職サイトは複数登録すべき
それでは、実際に転職を考える際は、まず何をすればいいでしょうか。最初に取り組むべきなのが、「転職サイト」に登録することです。主要な転職サイトであれば、一人一人の保育士にコンサルタントがついてくれ、希望に沿った保育園を紹介してくれます。保育園の様子や勤務実態についても、転職サイトを通じてヒアリングできるのでぜひ登録したいものです。
それも1つの転職サイトだけでなく、複数のサイトに登録するのがオススメです。下記の「主要な保育園転職サイトを比較」を見ればわかるように、登録している保育園数には差があり、1つのサイトに登録しているだけでは、現在募集中の保育園全ての情報を見ることができないからです。また、サイトによって得意な地域、苦手な地域があったりするので、複数のサイトに登録すれば、最適な保育園に出会える確率が高まります。
なお、ハローワークでも転職・就職情報を見ることができますが、登録している件数が少ないので、これだけで転職活動をすることはお勧めしません。
転職を考えるのなら、複数の保育士転職サイトに登録して、転職先を探してみるのがいいでしょう。実際、多くの転職希望者が、複数の転職サイトに登録しています。
(マメ知識)保育士転職サイトは複数登録しよう!
保育士が保育園の転職、求人情報を探すなら、複数の転職サイトに登録することが大切です。どこも登録は無料です。主要な転職サイトでも、登録している保育園数、得意なエリアは違います。
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