令和5年4月入園の認可保育園などの申し込みが、東京23区世田谷区など一部の自治体でスタートしました。東京23区の中には江東区のように、10月末で一次応募締め切りとなる自治体もあり、また依然として「待機児童」がいる自治体もあります。申し込み対象となる施設、スケージュール、認可保育園に落ちた時の対策などを、早めに確認しておきましょう。
1.認可保育園などは各自治体に申し込み
子どもを保育園に預ける場合、多くの人が選択するのが「認可保育園」です。国の定めた基準を守っており、ほかの保育施設と比べて設備、保育士の人数などが充実しています。また、比較的低料金で利用できます。
「認可保育園」については、各自治体(市区町村)に申し込みします。
各自治体に申し込まなければならない主な施設・事業は以下の通りです。
- 区が運営する区立の「認可保育園」
- 主に社会福祉法人や株式会社等が運営する私立の「認可保育園」
- 教育施設と保育施設の機能を一体化した区立と私立の「認定こども園」
- 2 〜 5 名の少人数で家庭的な保育を行う「家庭的保育事業」
- 6 〜 19 名の少人数で保育を行う「小規模保育事業」
- 会社等の事業所が運営し、従業員の子どもと地域の子どもを一緒に保育する「事業所内保育事業」
- 乳幼児の居宅において、1対1の保育を行う「居宅訪問型保育事業」
(世田谷区の「保育のごあんない」を参考に作成)
認可保育園には、「区立」と「私立」がありますが、どちらも自治体経由で申し込まなければなりません。法律で、親が共働きだったり、病気をしていたりする場合、自治体は保育園で子どもを預からなければならないとされているからです。私立だからといって直接申しこまないので、勘違いしないようにしましょう。
また、幼稚園と保育園を合体させた施設と言える「認定こども園」も自治体から申し込みます。そのほかの「事業」は比較的規模が小さく、積極的に利用したいという人はさほど多くないのが実情です。
保育施設にはこれ以外にも、「認可外保育園」があります。後述しますが、東京都が独自に設置している「認証保育園」や、24時間対応の「ベビーホテル」などは認可外保育園です。こちらは、各保育園に直接申し込みます。
2.申し込みの時期
認可保育園などは、自治体に申し込みますが、申し込む時期には注意が必要です。
基本的に大都市では、毎年4月しか入園できるチャンスがありません。ほとんどの保育園は、年度が変わる4月に新規の園児を募集しますが、4月ですぐに満杯になってしまします。
大都市の0歳児、1歳児クラスともなると「待機児童」が発生するほどの激戦区です。年度の途中で引越しなどによる欠員が出ることもありますが、期待はできません。
4月入園にエントリーするには、前年の9−12月頃に自治体に申し込みます。自治体によって申し込み時期が違うので、早めに調べて、募集要項を手に入れましょう。
また、仕組みが複雑なので、あれこれ悩むくらいなら、自治体窓口に出向いて担当者と直接相談することをお勧めします。
以下は東京23区の申し込み状況です。
東京23区の認可保育園の申し込み状況(令和4年4月入園) |
区名 |
募集要項の公開 |
受付開始 |
受付終了 |
千代田区 |
令和4年10月5日 |
令和4年11月24日 |
令和4年12月23日 |
中央区 |
令和4年10月6日 |
令和4年11月2日 |
令和4年11月30日 |
港区 |
令和4年10月1日 |
令和4年11月1日 |
令和4年12月6日 |
品川区 |
令和4年9月26日 |
令和4年10月11日 |
令和4年11月25日 |
新宿区 |
令和5年1月頃公開予定 |
- |
- |
文京区 |
令和4年11月1日 |
令和4年11月11日 |
令和4年11月30日 |
渋谷区 |
令和4年9月28日 |
令和4年10月20日 |
令和4年11月30日 |
区名 |
募集要項の公開 |
受付開始 |
受付終了 |
台東区 |
令和4年9月29日 |
令和4年10月3日 |
令和4年11月29日 |
墨田区 |
令和4年11月1日 |
令和4年11月21日 |
令和4年12月9日 |
江東区 |
令和4年9月29日 |
令和4年10月17日 |
令和4年10月28日 |
荒川区 |
令和4年10月1日 |
令和4年10月27日 |
令和4年11月10日 |
足立区 |
令和4年9月30日 |
令和4年11月18日 |
令和4年12月5日 |
葛飾区 |
令和4年10月24日 |
令和4年11月16日 |
令和4年12月9日 |
江戸川区 |
令和4年10月3日 |
区立:令和4年12月21日 私立:令和4年11月1日 |
区立:令和4年12月27日 私立:令和4年11月9日 |
区名 |
募集要項の公開 |
受付開始 |
受付終了 |
目黒区 |
令和4年10月1日 |
令和4年10月1日 |
令和4年12月9日 |
大田区 |
令和4年9月26日 |
令和4年10月3日 |
令和4年11月30日 |
世田谷区 |
令和4年9月1日 |
令和4年9月1日 |
令和4年11月21日 |
中野区 |
令和4年10月3日 |
令和4年10月3日 |
令和4年11月1日 |
杉並区 |
令和4年10月3日 |
令和4年10月3日 |
令和4年11月30日 |
練馬区 |
令和4年10月1日 |
令和4年10月4日 |
令和4年11月18日 |
豊島区 |
令和4年10月1日 |
令和4年10月1日 |
令和4年11月25日 |
北区 |
令和4年10月20日 |
令和4年10月20日 |
令和4年12月12日 |
板橋区 |
令和4年10月12日 |
令和4年11月1日 |
令和4年11月22日 |
区名 |
募集要項の公開 |
受付開始 |
受付終了 |
以下は各自治体の保育園ページです。
千代田区 中央区 港区 品川区 新宿区 文京区 渋谷区 台東区 墨田区 江東区 荒川区 足立区
葛飾区 江戸川区 目黒区 大田区 世田谷区 中野区 杉並区 練馬区 豊島区 北区 板橋区
※令和4年10月調べ。空欄は未確定・未公表。
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受け付けの終了は、おおむね11月から12月に集中しています。ただし江東区は締め切りが10月28日と非常に早いです。自治体によって日程が違うので気をつけましょう。
申し込みは、ほとんどの自治体で「直接提出」が必要です。さらに、受け付け窓口は各自治体で数カ所しか用意しておらず、平日の午前8時30分から午後5時までというところが大半です。共働き世帯にとっては、相談に行くのさえも仕事を休んでいかなければならないので、計画的に準備しましょう。なお、「郵送での提出」に対応している自治体もありますが、申し込み期限が直接提出よりも早い場合があるので、注意しましょう。
なお、一覧表を見て気がついたかもしれませんが、12月以降3月までに出産の場合、0歳児クラスへの申し込みは間に合いません。通常は2次募集で申し込むのですが、2次募集の時点で枠はほとんど埋まっています。そのため一年超の間は育児休業を取り、翌年、1歳児クラスに申し込むことになるのですが、待機児童が多い自治体では1歳児クラスは0歳児クラスに比べるとかなり入りにくく、「認可保育園には入れない」という結果になることが多いのが実情です。
3.認可保育園に落ちた時の対策
それでは、自治体に申し込んで、認可保育園などに入れなかった場合はどうすればいいのでしょうか。
どうしても子供を預けたい場合は、「認可外保育園」を探すことになります。以下が主な認可外保育園・事業です。全て直接申し込みます。
- 各自治体が設置している保育施設(東京度の「認証保育園」、横浜市の「横浜保育室」、さいたま市「ナーサリールーム」など)
- 24時間対応の「ベビーホテル」
- 幼児向けインターナショナルスクール
- ベビーシッター
認可外保育園は、認可保育園などに比べると設備等は貧弱なことが多く、1カ月の保育料も5万円~7万円程度かかることが多く、やや割高です。(ただし補助制度があります)
一方で、「利用時間に融通が利く」「共働きであるなど、保育園に預けるための理由が必要ない(誰でも預けられる)」というメリットもあります。
なお、待機児童が多い自治体では、認可保育園に入れないことを見越して早めに認可外保育園に問い合わせしたり、申し込んだりしている保護者もいます。特に、令和元年10月から「幼児教育・保育無償化」が始まり、認可保育園は保育料が無償になりました。申し込みがこれまで以上に増える可能性があります。候補となる認可外保育園をいくつか作り、認可保育園に落ちたり、希望の認可保育園に行けなかった場合に備えて、事前に下見をしておくべきでしょう。
(参考になる記事)
■「幼児教育・保育の無償化」はどうなる? 2019年10月の実施に向けて、いくら補助金が出るのか知っておこう
まとめ
早めに自治体に確認しよう
待機児童は減少してきたとはいえ、希望する保育園に入れない子供はたくさんいます。「保活」は情報戦と言えます。ですので、自治体に相談するだけでなく、周りの保護者とも情報を交換する、このサイトの「保護者の評判が高い保育園ランキング」を確認するなど、こまめに情報を集めることが重要でしょう。
(参考になる記事)
■出産は4〜5月がいい? 待機児童にならないための「10の保活テクニック」を紹介