2021年東京都の待機児童数は減少、保活には影響する?

2021年東京都の待機児童数は減少、保活には影響する?

2021年の東京都の待機児童数は、2020年と比べて1,374人減少し969人となりました(4月1日時点で比較)。1,000人を切ったのは、統計を取り始めた1970年以来初めてです。「保活」には影響するのでしょうか?(ライター・松原夏穂)

東京都の待機児童数は大幅減!

まずは、東京都全体の待機児童数の推移を見ていきます。

東京都の待機児童数の推移

待機児童数 対前年増減
2016年(平成28年)
8,466人
+652人
2017年(平成29年)
8,586人
+120人
2018年(平成30年)
5,414人
-3,172人
2019年(平成31年)
3,690人
-1,724人
2020年(令和2年)
2,343人
-1,347人
2021年(令和3年)
969人
-1,374人

出所:東京都福祉保健局少子社会対策部保育支援課「表3 保育所等利用待機児童等の状況 (1)保育所等利用待機児童数の推移」より、一部抜粋

表によると、待機児童数は確かに減少しています。

背景には、保育サービスの施設数や定員数の増加があります。認可保育園の設置数と定員は、2016年の2,342所(23万334人)から、2021年には3,477所(31万3,364人)に増加しています。定員は、5年で約1.3倍になったことになります。

認可保育園と認可外保育園を合わせた保育サービスの利用児童数(注)も、2016年の26万1,705人から、2021年には32万3,703人に増加しました。

(注)認可保育所、認証保育所、認定こども園、家庭的保育事業等の地域型保育事業、定期利用保育事業、企業主導型保育事業、区市町村単独保育施策等の利用児童数合計、出所:東京都福祉保健局少子社会対策部保育支援課「表1保育サービス利用児童数の状況、表2保育所等の設置状況」

23区では、12区が待機児童ゼロに!

さらに区単位で見ていきましょう。23区の待機児童については、2020年に比べて、701人減少して、288人となりました。約3割に減少したことになります。

特に、千代田区、港区、新宿区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、杉並区、豊島区、練馬区、足立区、葛飾区の12区が待機児童ゼロとなりました。このうち、、千代田区、港区、目黒区、世田谷区、杉並区、豊島区の6区は、前年2020年も待機児童ゼロを達成していました。

東京都23区の待機児童数の推移

 

区市町村名 待機児童数 待機児童数の増減(前年度比) 就学前児童人口
千代田区
0人
0人
3,822人
中央区
85人
-117人
11,239人
港区
0人
0人
15,607人
新宿区
0人
-1人
12,965人
文京区
1人
-10人
12,173人
台東区
15人
-45人
7,733人
墨田区
29人
-68人
12,302人
江東区
4人
-10人
26,136人
品川区
5人
-8人
21,383人
目黒区
0人
0人
12,962人
大田区
0人
-35人
31,461人
世田谷区
0人
0人
42,177人
渋谷区
0人
-58人
10,814人
中野区
25人
-48人
13,117人
杉並区
0人
0人
25,448人
豊島区
0人
0人
10,734人
北区
18人
-61人
15,315人
荒川区
21人
-7人
9,463人
板橋区
36人
-44人
23,662人
練馬区
0人
-11人
33,872人
足立区
0人
-3人
27,464人
葛飾区
0人
-21人
19,555人
江戸川区
49人
-154人
31,486人
23区合計
288人
-701人
430,890人
東京都合計
969人
-1,374人
619,296人

出所:東京都福祉保健局少子社会対策部保育支援課「表4 区市町村別の状況」

データによると、23区すべてと、小笠原村と三宅村を除く市町村で、待機児童が減少。さらに、就学前児童人口は、前年2020年の632,104人から619,296人と12,808人減少。コロナ禍で、保育園に子供を預ける人が減少しました。この結果、待機期児童数は、解消に向かっているように見えます。

減少の一因について、上記の東京都保育支援課によると、「保育所の整備が進み、定員が増えたこと。コロナ禍で入園を先送りにする家庭もあったことが、考えられます。特に0歳児の利用は減っています。来年度以降、反動で申し込みが増える可能性もないとはいえない」とのことです。

知っておきたい、厚生労働省の「待機児童の定義」

待機児童の以前の定義は「認可保育園に入所を申し込んで、入所不可となった子ども」という単純なものでした。しかし、2001(平成13)年以降、定義が度々変更。

待機児童が社会問題化する中で、厚生労働省は2016(平成28)年に、全国統一の待機児童基準をまとめました。それまでの待機児童の基準よりは対象を拡大したものの、すべての待機児童をカバーしているわけではありません。「保育所等利用待機児童の定義」の中で、以下のようなケースでも、待機児童の対象外としてしまっています。

待機児童の対象外とするケース

ア、保護者が求職活動を停止した場合

イ、認可外保育園(認証含む)、預かり保育を利用した幼稚園、保育室・家庭的保育事業、企業主導型保育事業、に通っている児童

ウ、現在児童が保育施設に通っているが、第一希望でないため転園希望を出している場合

エ、産休、育休明けの利用を希望として、事前に利用申し込みが出ている「利用予約」

オ、利用可能な保育施設があるにも関わらず、特定の保育園等を希望し、保護者の私的な理由により待機している場合(開所時間が保護者の需要に応えている。登園時間が自宅から20~30分未満)

カ、保護者が育児休業中

出所:厚生労働省の「保育所等利用待機児童の定義」を参考に作成

「待機児童」という場合、「保育園に入所を申し込んで、入所不可となった子ども」と考えがちですが、実際は、以上のケースを差し引いたものが「待機児童数」ですから、人数が少ないのも当然です。

例えば、就職活動のために面接に行きたいとしても、子どもを預ける先がないために、やむを得ず求職活動を停止する場合もありますが、それは待機児童に含まれません。

また、兄弟を同じ施設に入れたいのは、親なら当然思うこと。そのために、転園の希望や待機することが「私的」理由とみなされるのは残念でなりません。

隠れ待機児童数の実態は?

それでは、待機児童の対象外となった子ども達はどのくらいいるのでしょうか?

以下は、2020年の結果ですが、日本共産党東京都議会議員団は、厚生労働省の待機児童の定義から外れた「隠れ待機児童」数を調査しました。東京都の合計は16,279人(大田区、渋谷区、三鷹市、小平市、東大和市、多摩市、西東京市は調査結果なし)。なんと、厚生労働省の待機児童の約7倍の人数でした。
この中から、前述の厚生労働省基準では待機児童ゼロの6区について、「隠れ待機児童数」を見てみましょう。

隠れ待機児童数(2020年)

自治体名 隠れ待機児童数
千代田区
86人
港区
2,046人
目黒区
1,036人
世田谷区
1,367人
杉並区
1,160人
豊島区
199人

最も多い港区は、23区で隠れ待機児童数上位になりました(大田区、渋谷区は調査結果なしのためカット)。

次に内訳を見ていきます。

待機児童ゼロの6区について、「隠れ待機児童数」の内訳

地方単独保育施策(認証保育園など)を利用している子ども
3392人
「特定の保育園等を希望している」とされている子ども
1429人
保護者が育児休業中の子ども
914人
企業主導型保育事業を利用している子ども
85人
一時預かり事業(幼稚園型Ⅰ・Ⅱ)または預かり保育の補助を受けている幼稚園を利用している子ども
46人
保護者が求職活動を休止している子ども
28人

※当該自治体に「認可化移行運営費支援事業を利用している子ども」「幼稚園における長時間預かり保育運営費支援事業を利用している子ども」はゼロのため、省略。出所:日本共産党東京都議会議員団 待機児童数の調査結果について 2020年6月11日「別表1 区市町村ごとの待機児童の状況」より一部抜粋

この表では「地方単独保育施策(認証保育園など)を利用している子ども」が最多で、都全体でも最多の39%を占めます。

認可保育園の入所が不可となっても、認証保育園などが子どもの受け皿の役割を果たしています。

それに続いて多いのが以下のケースです。
「『特定の保育園等を希望している』とされている子ども」
「保護者が育児休業中の子ども」
気になるのは「『特定の保育園等を希望している』とされている子ども」も多いこと。様々な理由から、紹介された保育園は通園できないということもあります。都全体で36%を占めます。

重複しますが、親が働きやすく、子どもがストレスなく通える環境であることは大切です。「入所できればOK」ではないので、もう少し親子に寄り添った対策をしてほしいもの。

全国の待機児童数も減少

ここで東京都から離れて、他県に目を向けてみましょう。

2021年度の待機児童数は5,634人で、前年比6,805人の減少となりました。調査開始以来、最少人数ですが、政府の目標では2020年に待機児童ゼロとするはずでしたので、目標は達成できていません。

待機児童のいる市区町村は、前年から88減少して312市区町村です。待機児童が100人以上の市区町村は、前年から18減少して4市となりました。

待機児童が多い市町村は、以下のとおりです。東京都23区は積極的な保育園新設により、待機児童が大きく減少し、他の県でも大きな減少が見られました。

待機児童数が多い市区町村(2021年)、カッコ内は対前年増減

1位、兵庫県西宮市182人(▲163人)
2位、兵庫県明石市149人(▲216人)
3位、福岡県筑紫野市137人(+12人)
4位、兵庫県尼崎市118人(▲118人)
5位、兵庫県姫路市98人(▲24人)
6位、千葉県木更津市90人(+28人)
7位、東京都小平市86人(▲73人)
8位、千葉県君津市85人(+74人)
9位、東京都中央区85人(▲117人)
10位、鹿児島県鹿児島市82人(▲134人)

昨年1位の埼玉県さいたま市、4位の岡山県岡山市は待機児童が100人以上減少し、20位以内にも入っていません。

なお、待機児童ゼロの県が、全国にはいくつかあります。

待機児童ゼロだったのが、青森県、山形県、栃木県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、岐阜県、鳥取県、長崎県、大分県です。

出所:厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ(令和3年4月1日)」

筆者の出身地である富山県を例に見ていきます。富山県は2004(平成16)年から、待機児童ゼロです。しかし地元の友人によると「希望の園に必ず入れるわけじゃないよ」とのこと。それでも以前は、妥協したら何かと預け先はあったようです。

朝日新聞の、「待機児童問題『見える化』プロジェクト」は全国の隠れ待機児童数を発表していますが、富山市は196人(2018年)。理由のほとんどが、「特定の施設のみを希望」でした。「待機児童ゼロ」というのは、希望の保育園に入れるというわけではないのです。
参考:朝日新聞「待機児童問題『見える化』プロジェクト

都内で保活をしたママの声を聞いてみた

2020年度に、保活をしたママの声を紹介します。

2021年4月に、1歳児クラス入園を目指し、保活をしたAさん(母親)。

希望を出した保育園には、どこにも入れなかったので、育休を延長しました。1歳児クラスの空きは時々出るものの、すぐに埋まってしまうので、来年2021年4月2歳児クラス入園に向けて、再度保活を行う予定です。私の地域では、1歳児の4月入園が一番人気。次は、0歳児の4月入園です。2歳児の4月入園は、それほど難しくないようです

Aさんは育休を延長しているので、お子さんは待機児童の対象外。このような方もおられるので、希望の園に入るのは、まだまだ難しいようです。

おわりに

コロナ禍で育児休業を延長して、入園を先送りにする家庭があったり、保育所の整備が進んだりと、認可保育園の入園は以前ほど大変ではないのかもしれません。

ただ、地域によって実情は異なります。お住まいの自治体に、問い合わせてください。また保育園まるごとランキングで、保育園の「質」「評判」に関する情報にも目を向けてください。