AI時代でも、子育てはスキンシップが大事!過去の恐ろしい事件から分かったことは? 小阪有花さん【新連載】

AI時代でも、子育てはスキンシップが大事!過去の恐ろしい事件から分かったことは? 小阪有花さん【新連載】

AI時代に突入したといいますが、保育園もAIやロボット化が進むのでしょうか? 実は過去に行われた子育ての実験を見ていると、恐ろしい失敗を繰り返しています。いったい、どんな失敗をしてきたのでしょうか。また、その事件から、子育てで大切なものは何であると分かったのでしょうか。
(子どもの心スペシャリスト・小阪有花)

子育ての方法とは?

デジタルが発展し、誰にでもできる仕事は「AIにやらせる」という時代になりつつあります。

しかし、「子育て」だけは絶対に人間にしかできない役割だと私は考えます。何故なら、赤ちゃんを育てるには衣食住だけではなく、心や体とのふれあいが必要不可欠だからです。

今回は、過去の歴史を遡り、世界で起きた悲しい悲劇をお伝えします。

様々な育児法が考えられたが…

約800年前に起きたローマでの話。

ローマ帝国の皇帝フリードリヒ2世は、ある日、こんなことを考えたといいます。

「生まれたばかりの赤ちゃんに、言葉を一切教えなかったら、その子は一体どうなるのか?」

その真相を知るべく、生後間もない赤ちゃん50人を集め、実験をすることにしました。

実験内容は、赤ちゃんの衣食住、ミルクやお風呂、排泄の処理などのお世話は欠かさない一方で、赤ちゃんの目を見る。笑いかける。話しかける。などのスキンシップと呼ばれるものを全て禁じるといった内容でした。ただ命を粗末にしないために生きている。という状況です。赤ちゃんにとっては、まさに孤独との戦いになりますが、まだ孤独という感情を理解していない赤ちゃんは、どうなってしまったのでしょうか?

結果、実験対象に選ばれた赤ちゃん全員が、一歳の誕生日をむかえることなく死亡してしまったのです。

生活保護をする代わり受け入れてしまった条件が、命のカウントダウンを生む結果に。

こちらは第二次世界大戦後アメリカでの話。アメリカの心理学者ルネ・スピッツは戦争で孤児になってしまった乳児55人を施設に入れるも、心理学者である自分の研究欲求を抑えられず、生活を保証する代わりに、スキンシップを一切禁止し、その結果子どもはどのように育つのかを実験したいと考え実行してしまいました。

その結果、27人の子どもが2歳になる前に死亡。17人の子どもは何とか生き延びたものの、原因不明の病や、世の中に期待を抱く心が芽生えなかった結果、成人になる前に6人死亡してしまいました。生き残った11人の子どもたちも、知的障害や情緒障害など何かしらの症状が残ってしまい、誰一人、苦しむことなく生きる事が出来なかった。という結果になってしまったのです。

最新の保育法のはずが…

次のエピソードは、近代のものです。

20世紀はじめの米国の児童養護施設では、子どもの死亡率が徐々に高まっていることが問題となっていました。アメリカ・ボルチモアの児童養護施設では、1年で9割もの赤ちゃんが死亡してしまったといいます。
原因はなかなか分かりませんでした。

誰かが悪意を持って子育てをしていた訳ではなかったのですが、いざ、児童養護施設の生活をのぞくと、その生活環境は殺伐としていました。

スキンシップは取らない。泣いてもできるだけ放っておく。甘えは一切認めない。という、今までとは全く違う子育てが繰り広げられていたのです。というのも、当時の最新の育児法は、「理性的な子どもを育てるためには、曖昧な人間の『心』をできるだけ無くしてしまうのがよい」という間違った考えが広がっており、ゆとりのある児童養護施設ほど、とりいれてしまっていたのです。

この育児法が間違いだったとされた理由は、貧しい児童養護施設の赤ちゃんの死亡率は、はるかに低かったことにあります。当時、貧しい児童養護施設は最新の育児を取り入れるのが遅く、従来のスキンシップを取る育児法を続けていました。そのため、貧しい児童養護施設の赤ちゃんの死亡率ははるかに低く、当時は善かれと噂されていたスキンシップをとらない育児法が間違いであるということが証明される結果となったのです。

人間は心と体の触れ合いなくしては、生きていけない

昔の話ではありますが、以上の結果に習えば、やはり赤ちゃんは人が育てるべきであることが分かります。

赤ちゃんにとってのスキンシップは、成長ホルモンの分泌を促す働きがあるともいわれており、スキンシップを取らないことは、赤ちゃんの成長に悪影響が出るといわれています。

他にも、スキンシップをたくさん与えられた赤ちゃんは、脳内で心を落ち着かせるホルモン「オキシトシン」がたくさん分泌されて、情緒が安定し、大人になっても穏やかで怒りにくい性格になると言われています。

また、抱きしめることでセロトニンが分泌され、やる気を出させるドーパミンも分泌され、才能がめきめき開花するともいわれています。

スキンシップをとることは、「愛情の深い人間になる」「自分の行動をコントロールできる」「集中力が上がる」「社会性が培われる」「IQが高くなる」など数えきれないほどの効果が得られます。

育児はとにかく大変で、AI技術が発展したら、子育ても変わっていくのかと頭をよぎる瞬間はあるかもしれませんが、どんなにデジタルが発展しても育児のすべてを機械に任せることはできません。

だからこそ、私たち自身が、子どもに関心を高め、子育てに積極的に参加し、育児の苦労や楽しさを共有し、みんなで子どもを育てていける世の中にすること。それこそが、人類の発展に最も近づく方法だと私は思うのです。

小阪有花

【小阪有花】2004年 ミスマガジンから芸能界へ。2009年に芸能引退後、保育コンサルを経て、2020年 総合制作会社cheer lead を設立。