保育士の給料・年収は徐々に上昇していた! 都道府県ごとの給料や、給与を上げる方法を紹介【2024年版】

保育士の給料・年収は徐々に上昇していた! 都道府県ごとの給料や、給与を上げる方法を紹介【2024年版】

保育士の給与は政府などの支援策もあり、年々上昇しています。しかし、都道府県によってはかなりの差があるので、ランキング形式で紹介します。施設の形態や勤続年数によっても大きな差があります。また、どうすれば給料を上げられるのか、その方法も紹介します。ぜひ、転職の際の参考にしてください。(ライター・松原夏穂)

保育士の給料は、年々上昇している

保育士の平均年収は増加

「保育士の給与は安い」というイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか?

厚生労働省が毎年実施している「賃金構造基本統計調査」から、10年間(2012~2022年)の保育士の平均年収の推移を調べてみたところ、実は大きく増加しています。この給与は「手取り額」ではなく、税・社会保険料控除前の「総支給額」です(数値は男女合計)。

2012年は314万円でしたが、2022年は392万円と、20%も増加しています。

2012~2022年女性保育士の給与の推移

勤続年数 月給(万円) 賞与など(万円) 年収(万円)
2012年 8.0年 21.3万円 58.5万円 314.4万円
2013年 7.7年 21.3万円 54.0万円 309.1万円
2014年 7.7年 21.4万円 56.9万円 314.2万円
2015年 7.7年 21.8万円 60.3万円 322.1万円
2016年 7.8年 22.2万円 58.4万円 324.7万円
2017年 7.8年 22.8万円 65.8万円 339.7万円
2018年 8.2年 23.8万円 70.8万円 356.4万円
2019年 7.9年 24.4万円 69.9万円 362.1万円
2020年 7.8年 24.8万円 74.9万円 373.0万円
2021年 8.8年 25.7万円 74.4万円 382.8万円
2022年 8.8年 26.7万円 71.2万円 391.6万円

参考:「厚生労働省 賃金構造基本統計調査」、「統計で見る日本」。「きまって支給する現金給与額」(月給)×12(カ月)+「年間賞与その他特別給与額」(賞与など)=年収としました。

2012~2014年は減少傾向にありましたが、2015年からは毎年増加。同年に始まった処遇改善等加算※1の影響が考えられます。

結果、2012年~2022年の10年間で年収が約80万円アップしました。特に2017年以降の増加が、著しいです。国や自治体による対策の効果が表れてきたようです。
※1 保育士不足や待機児童問題の改善策として実施された国の制度。「Ⅰ」「Ⅱ」の2種類ある。厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課 「保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善について」平成29年2月24日

保育士は他業種より平均年収が低い?

それでは、保育士は他業種に比べると、給料は多いのでしょうか、少ないのでしょうか。

保育士と、幼稚園・保育教諭、激務と言われる看護師、介護職員を比較してみました。

2022年の職種別給与(男女合計)

職種 勤続年数 月給(万円) 賞与など(万円) 年収(万円)
看護師 9.1年 35.2万円 86.2万円 508.6万円
幼稚園・保育教諭 9.0年 26.7万円 78.6万円 399.0万円
保育士 8.8年 26.7万円 71.2万円 391.6万円
介護職員 10.5年 28.5万円 64.4万円 406.4万円

保育士の年収は、たしかに幼稚園・保育教諭や介護職員と比べると低いですが、差は10万円ほどで、特別「給与が安い」と取り沙汰されるほど大差はありません。

ただ看護師と比べると100万円以上低いので、そうした点で「給与が安い」と思われるのは無理もないでしょう。

保育士の年収は上がっているけど、実感がないのはなぜ?

処遇改善等加算Ⅰは、保育士に還元されない?

改善傾向になっている保育士の年収ですが、現場で働く保育士からは、そのような実感がないとの声もあります。

それには、さきほど紹介した「処遇改善等加算Ⅰ」の制度が関係しています。勤続年数に応じて賃金が改善され、正職員だけでなく、非常勤職員も対象となる制度ですが、対象施設は「認可保育園」のみで、認可外保育園、企業主導型保育園は対象外。

さらに、加算分は保育園を通して、保育士に処遇改善手当として支給されることになっていますが、加算率は保育園ごとに算出され、いくら保育士の手当として配分するかは保育園に一任されています。

ということで、同じキャリアであっても勤務先によって差が出てしまいます。そして、過去残念なことに、保育士に適切に配分されていない事例もありました。

出典:日本経済新聞「保育士の賃金加算7億円使われず?会計検査院指摘」(2019年12月21日)

処遇改善等加算Ⅱは、人数制限がある

もうひとつ、「処遇改善等加算Ⅱ」があります。

園長および主任保育士未満の技能・経験を積んだ職員に対してキャリアアップ研修を経て、処遇を改善するというもの。そのため、新たに「副主任保育士」などの役職が設定されました。

加算分は直接保育士に支給されますが、適用には人数制限が設けられているため、若手の保育士には機会が巡りにくいかもしれません。

年収自体は上がりつつありますが、すべての保育士に円滑に還元されていない面があるため、「給与が安い」と言われるのでしょう。

転職する際には、処遇改善等加算についても質問していただきたいです。

施設や役職ごとの給与については、記事「保育園・認定こども園・事業所内保育園・幼稚園などの給料をランキングで比較!」で比較しています。

都道府県ごとの年収は大都市が上位

これまでは全国の平均年収という大枠で見てきたので、次に全都道府県の保育士の年収を紹介します。

保育士の都道府県別年収(2022年)

年収順位 都道府県名 勤続年数 年収(万円)
全国 8.8年 391.4万円
1位 東京都 7.8 450.8万円
2位 京都府 10.2 445万円
3位 神奈川県 8.5 439万円
4位 石川県 8.8 431.3万円
5位 青森県 15 427万円
6位 大阪府 12.4 424.4万円
7位 鹿児島県 14.1 407.6万円
8位 香川県 10.9 407.4万円
9位 千葉県 7.5 398.4万円
10位 岡山県 9.6 397万円
11位 和歌山県 9 393.7万円
12位 富山県 11.9 388.8万円
13位 北海道 12.3 385.8万円
14位 栃木県 11 383.6万円
15位 埼玉県 7.9 383.5万円
16位 岐阜県 10.1 377.7万円
17位 福井県 7.8 376.5万円
18位 群馬県 11.9 374.9万円
19位 山梨県 17.1 373万円
20位 茨城県 6.5 373.7万円
21位 静岡県 8.7 372.5万円
22位 新潟県 13.1 370.9万円
23位 宮崎県 7.7 370.4万円
24位 鳥取県 6.6 368.8万円
25位 愛知県 6.7 368.5万円
26位 熊本県 8.5 367.4万円
27位 徳島県 14.2 366.6万円
28位 大分県 10.2 364.3万円
29位 奈良県 5.4 363.1万円
30位 山口県 8.6 359.2万円
31位 高知県 12.8 358.5万円
32位 愛媛県 8.5 358.2万円
33位 福岡県 5.9 358.1万円
34位 兵庫県 7 351.8万円
35位 島根県 10.6 349.9万円
36位 滋賀県 6.8 349.7万円
37位 福島県 8.9 345.5万円
38位 三重県 8.9 339.9万円
39位 宮城県 8.9 336.3万円
40位 岩手県 12.6 335万円
41位 広島県 7 334.9万円
42位 佐賀県 8.1 334.7万円
43位 長崎県 11.6 320.8万円
44位 秋田県 7.1 315.1万円
45位 長野県 8.6 314.5万円
46位 沖縄県 6.2 308.7万円
47位 山形県 7.9 284.2万円

出所:賃金構造基本統計調査(一般_都道府県別_職種(特掲)DB、男女合計)
保育士(男女合計)の全国平均年収は、391.4万円(2022年)です。

1位の東京都は450.8万円、47位の山形県は284.2万円で、166万円余りの差が出ています。

やはり、東京都・神奈川県・京都府といった、大都市を含む都道府県の年収が高く、地方の年収が低い傾向がでていますね。

大都市は保育の需要が高いため、求人も多いです。就職サポート(面接の際の交通費の支給など)や、借り上げ社宅制度のある地域もあるので、より良い条件で働くために、地元を離れることを選択肢としてもよいのではないでしょうか。

また、多くの人は「月給」ばかりに目が奪われがちですが、「賞与」についても気を配りたいところです。

上表には掲載していませんが、1年間の賞与(ボーナス)が100万円を超えた県は4県ありました。

・石川県 111.9万円
・青森県 106.3万円
・香川県 100.2万円
・和歌山県 107.2万円

年によって調査対象が変わるため、数値にはばらつきがありますが、求人情報を見る際は、月給だけでなく、賞与なども確認して年収を概算したほうがいいでしょう。

保育士の給与を上げるにはどうしたらいい?

それでは保育士の給与を上げるには、どうしたらよいのでしょうか?

昇進を目指す

前述の「処遇改善等加算Ⅱ」により、「副主任保育士」の他、「専門リーダー」「職務分野別リーダー」の役職が設置されました。

「副主任保育士」「専門リーダー」は、概ね7年以上の経験が必要ですが、「職務分野別リーダー」は概ね3年以上の経験で、それぞれキャリアアップ研修を受ければ就けます。

「副主任保育士」「専門リーダー」で、月額4万円の処遇改善。「職務分野別リーダー」で、月額5000円の処遇改善が見込めます。

人数制限はありますが、主任保育士になるのに10年以上かかることから、3年以上の経験でキャリアアップを目指せるのは、1つの目標になるのではないでしょうか?

資格を取得する

資格を取得することで、資格手当が出る保育園もあります。

看護師や社会福祉士などの国家資格、リトミック講師や子ども英語教師の資格、運動指導員の資格など、保育に活かせる資格などを取得して、自分の得意分野を活かしてキャリアアップを目指しましょう。

転職でキャリアアップ

上記のことが現在勤めている保育園でかなえるのが難しい、そう感じた場合は転職という選択肢もあります。

・公立保育園に転職する
一般職の保育士の頃は、公立私立それほど大差ありませんが、主任保育士になると、月収が公立56万1725円、私立42万2966円と月額10万円以上の差が出ます。公務員試験は年齢制限があるので、長期間勤めたいと考えるのなら、試験を受けることを早めに視野に入れることをおすすめします。

・都市部の保育園に転職する
前述のように、都市部は給与が高く、保育の需要も高いので、就職サポートがある地域も。借り上げ社宅制度があれば、住まいの心配もありません。環境もガラリと変えるのも、良い経験になるのではないでしょうか?

大都市特に東京都で働いてみたいと思われたら、こちらの記事を参考にしてください。
記事「保育士で転職するなら東京へ!上京して保育士をするメリット5つ

また、自治体によって独自に保育士への手当を設定している場合もあります。

・新規の保育園に転職する
新規の保育園であれば、保育士だけでなく園長や主任保育士の募集も行うので、管理職に応募してキャリアを上げる方法もあります。

・認可保育園に転職する(処遇改善等加算があるため)
前述の処遇改善等加算ですが、認可保育園でしか受けられないので、希望勤務先が認可保育園なのかどうか、形態を把握しましょう。また実際に処遇改善等加算を受けている保育園の場合、何人くらいの職員がどのような形で、いくらくらい加算を受け取っているかも確認しましょう。

転職サイトは複数登録すべき

 それでは、実際に転職を考える際は、まず何をすればいいでしょうか。最初に取り組むべきなのが、「転職サイト」に登録することです。主要な転職サイトであれば、一人一人の保育士にコンサルタントがついてくれ、希望に沿った保育園を紹介してくれます。保育園の様子や勤務実態についても、転職サイトを通じてヒアリングできるのでぜひ登録したいものです。

 それも1つの転職サイトだけでなく、複数のサイトに登録するのがオススメです。下記の「主要な保育園転職サイトを比較」を見ればわかるように、登録している保育園数には差があり、1つのサイトに登録しているだけでは、現在募集中の保育園全ての情報を見ることができないからです。また、サイトによって得意な地域、苦手な地域があったりするので、複数のサイトに登録すれば、最適な保育園に出会える確率が高まります。

 なお、ハローワークでも転職・就職情報を見ることができますが、登録している件数が少ないので、これだけで転職活動をすることはお勧めしません。

 転職を考えるのなら、複数の保育士転職サイトに登録して、転職先を探してみるのがいいでしょう。

(マメ知識)保育士転職サイトは複数登録しよう!

 保育士が保育園の転職、求人情報を探すなら、複数の転職サイトに登録することが大切です。どこも登録は無料です。主要な転職サイトでも、登録している保育園数、得意なエリアは違います。

 

                            

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