英語が苦手な親でも与えられる、乳幼児~幼児向けの英語の絵本はないかしら」。そんな悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。海外絵本と英語教材の輸入卸と直営店「Ehon House」を運営する、株式会社絵本の家広報担当の上野紋華さんに、乳幼児~幼児向けの英語の絵本選びのコツを教えてもらいました。
BGM代わりに流せるCDつき
最も簡単に取り入れられるのが「英語の音楽をBGMで流す」方法です。さまざまなCD付きがありますが、特におすすめなのがアメリカで長年愛されている『Wee Singシリーズ』です。CD、楽譜・歌詞付きのブックレットがセットになっています。ベビー向けで65曲、マザーグースで71曲、ベスト盤で46曲と、CD1枚あたりの曲数が多いですし、クリスマスやハロウィンなど季節のCDもあって、用途にあわせて選べます。
生まれたばかりの赤ちゃんの子守唄にもなるような静かなCDもあるので、家でBGM代わりに流せば、自然と耳に英語が入ってきます。演奏ができる方なら、弾いてあげながら子どもと一緒に歌う、という楽しみ方もできます。
① 「Wee Sing for Christmas」1,760 円(税込 1,901円)
著者:Pamela Conn Beall, Susan Hagen Nipp、
出版社:Price Stern Sloan
性別問わず人気のエリック・カール作品
英語の歌に慣れてきたら、子どもが本を好きになるような作品を選びましょう。絵だけ見てもなんとなく内容がつかめて、文章が短いものから始めます。性別に関係なく人気なのは、「はらぺこあおむし」でも有名なエリック・カールさんの絵本です。なかでも、絵本の右側のボタンを押すと音が流れる「音の出る絵本(サウンドブック)」は、子どもの「ボタンがあったら押したい!」という衝動にうまくマッチした商品です。「Polar Bear, Polar Bear, What Do You Hear?(しろくまくん なにがきこえる?)」は、ボタンを押すと絵本に登場する動物の鳴き声が聞こえます。
絵本初心者の子なら、厚紙でできたボードブックタイプの本は、破けにくく、めくりやすくて持ちやすいので、手にとりやすいと思います。同じくエリック・カールさんの「SING&SAY Brown Bear Brown Bear What Do You See?」がおすすめです。この本も先にあげたしろくまくんも、文章は教育者のビリー・マーティン・ジュニアさんが作っていますから、声に出したときのテンポもいいんです。
この2冊の良いところは、発音に自信がない人のためにCDも販売されていることです。CDは国をあげて英語教育に力を入れている韓国のメーカーが版権を得て作っていて、独自に作曲したメロディーにのせた文章、歌やチャントで楽しく英語を学べるように工夫されています。
② 「Polar Bear, Polar Bear, What Do You Hear? Sound Book」2,390 円(税込 2,581円)
Bill Martin(著)/ Eric Carle(画)
出版社:PRIDDY BOOKS、※別売りCDは750 円(税込 810円)
③ 「Brown Bear Brown Bear What Do You See?」(ボードブック)
ボードブックのみ1,460円(税込1,577円)、CD付セット1,900 円(税込 2,052円)
Bill Martin(著)/ Eric Carle(画)、出版社:本=Henry Holt Books、CD=NoBuYoung
QRコード付きなら、スマホで読み取れる
エリック・カールさんの作品ではありませんが、「CDは機械がないと流せないので、持ち歩きにくくて不便」という方には、QRコードつきの絵本もあります。本に印字されたQRコードをスマートフォンやタブレットで読み取ることで歌が流れます。
歌詞が文章になっているスライド式の仕掛け絵本なので、遊びの要素も高い本です。ページをめくりながら親子で歌ってみてはいかがでしょうか。
④ 「Sing Along With Me! We Wish You A Merry Christmas」ボードブック(QRコード音つき)1,590 円(税込 1,717円)
画:Yu-Hsuan Huang 出版:Nosy Crow
ネイティブ発音を気軽に聞ける「しゃべるペン」
自分でやってみることが好きな子には、音の出るペン「セイペン(say pen)」機能がついた本をご紹介します。
「My First Word Book」は、英語教育系出版社として名高いDK社製の英語絵辞典です。子どもたちの生活に身近な言葉約1000語が、写真とともに記してあります。もともとCD付きで単語の練習もできたのですが、セイペン対応になったことで、言葉の部分にセイペンをタッチするだけでネイティブスピーカーの発音が流れるようになりました。単語が表す意味を写真で確認しながら、正確な発音と綴りも一緒に学べます。ページの丸い緑のマークをセイペンでタッチすると、写真を文章で説明する英文が流れますから、英語に慣れている子どもにも学びがあります。
セイペン対応の本は弊社でもたくさん扱っていますがで、もう1冊ご紹介したいのが、動画が見られるパソコン用CDが付いた「『Walking through the Jungle』』です。付属CDをパソコンで再生すると、絵本の絵が動画となって音楽に合わせて動き出します。画面に出ている歌詞は音楽に合わせて色が変わっていくので、英語が読めない子どもたちも自然と文章を目で追っていきます。こちらも本の単語にペンで触れると、発音を確認できます。
⑤ 「My First Word Book」絵辞典+CDセット 3,300 円(税込 3,564円)
出版:本=DK社、CD=NoBuYoung
⑥ 「Walking through the Jungle」絵本+ハイブリッドCDセット2,300 円(税込 2,484円)
著者:Debbie Harter 出版:本= Barefoot Books、CD=NoBuYoung、下の写真参照
※セイペンは別売りで15,000円(税込16,200円)。他のセイペン対応商品の音源データを追加で入れていくことができる
CDなしでも遊びながら興味が深まる
音を流したくないときに、幼児向け絵本の最初のステップとしておすすめしたいのが、「ファースト ストーリーズ シリーズ ベビー」です。赤ずきんちゃん、三匹のこぶた、白雪姫など、有名童話をわずか4見開きでシンプルにまとめた、仕掛けつき絵本です。飽きっぽい子でも短いので集中力が途切れにくいですし、読み聞かせもしやすいと思います。
「Can You Find Me? 」は、コラージュの絵のなかに隠れた動物を探し出しながら、簡単な単語を学べる本です。「この池にカエルは何匹いるかな? ワン、ツー、スリー…」など、子どもに話してあげることで、10までの数字も英語で学ぶことができます。 かわいい子どものイラストとシンプルな英語で、親子のスキンシップやコミュニケーションの取り方、マナーなどについて学べるのが、カレン・カッツさんの絵本です。「No Biting!(かんじゃダメ)」「Excuse Me!(失礼しました)」など、子どもの生活に即したシチュエーションで「こんなとき、なんていえばいいと思う?」と問いかけながら読みきかせましょう。
⑦ 「Fist Stories Little Red Riding Hood」1,590円(税込 1,712円)
著者:Natascha Rosenberg 出版社:Campbell Books
⑧ 「Can You Find Me?」2,800円(税込3,024円)
著者:Surya Sajnani、出版社:words & pictures
⑨ 「No Biting!」 1,060 円(税込 1,145円)
「Baby Loves Spring」 1,190 円(税込 1,285円)
「Wiggle Youre Toes」 1,920 円(税込 2,074円)
著者:Karen Katz、出版社:Little Simon
日本語の本と見比べられる絵本
日本語版、英語版と両方ある絵本は、表現方法を見比べられるのが魅力です。日本で大人気のヨシタケシンスケさんの絵本や、行事の由来や意味といった日本の文化や生活習慣を紹介した「和の行事えほん」、日本語版が大ヒットした、イラストで世界各国を紹介する大型本「MAPS」など、家にあるお子さんが気に入っている本の英語版を購入して見比べるのも、英語への興味につながるのではないでしょうか。
⑩「It Might Be an Apple」出版社:Thames & Hudson
「What Happens Next? 」出版社:Thames & Hudson
「Can I Build Another Me? 」出版社:Thames & Hudson
「STILL STUCK」出版社:Harry N. Abrams
作・画:ヨシタケシンスケ 各2,070 円(税込 2,236円)
⑪ 「A Visual Guide to Annual Events in Japan」2,800 円(税込 3,024円)
著者:高野紀子、出版社:絵本の家
⑫「MAPS」4,500 円(税込 4,860円)英語版
著者:Aleksandra Mizielinska , Daniel Mizielinski、出版社:Big Picture Press
右の2冊が日本語版(出版社:あすなろ書房)。英語版は日本語版2冊分が1冊になっています。
語学レベルの高い子におすすめ
最後に、インターナショナルプリスクールに通っているお子さんなど、既に英語が話せる子におすすめの本を紹介します。
SING&SAYシリーズの「Rosie’s Walk」は、「ロージーのおさんぽ」として日本でも人気の絵本で、CDを流しながら朗読の練習ができます。このシリーズは作品ごとに独自にレベル別分けしていますから、お子さんのレベルに合わせてステップアップしていけます。
イギリス英語、アメリカ英語を分けて覚えさせたい方には、ネイティブの子どもたち向けに作られた「レベル別リーディングシリーズ」があります。「シンデレラ」「王様の耳はロバの耳」など、名作絵本がレベル別にシリーズ化されていて、CDにはイギリス英語、アメリカ英語両方の朗読が収録されています。
お友達同士で英語劇をしたいときには、台本、ワークブック、CDがついた「英語劇」シリーズがあります。初級から上級の全7レベル、昔話に現代的なひねりを加えたおもしろ英語劇シリーズと、昔ながらのクラシック英語劇シリーズの2シリーズがあるので、子どもたちの興味に合わせて作品を選ぶと良いでしょう。
⑬ 「Rosie’s Walk ペーパーバッグ&CD」1,600 円(税込 1,728円)
著者:Pat Hutchins、出版社:本=Aladdin、CD=NoBuYoung
⑭「USBORNE YOUNG READING Cinderella」CD付き 1,350 円(税込 1,458円)
著者:Susanna Davidson 出版社:Usborne Books
⑮ 「Ready, Action! The Three Little Pigs」
演劇用台本+CD+ワークブック1,900 円(税込 2,052円)
出版社:E public
楽しく学べるものから始めよう
最初からレベルの高いものに挑戦し過ぎても、英語が嫌いになってしまいます。遊びながら興味を持てそうなもの、楽しく学べるものから始めましょう。お子さんがいるとインターネットで購入したほうが早いと思いがちですが、慣れないうちは書店で店員さんに相談しながら選んだほうが、サイズ感も分かりますし、より適したものを選べるように思います。
※この記事で紹介した本やCDの価格は「絵本の家」での販売価格です。為替変動や改訂により変更になる場合があります。
取材協力:Ehon House(絵本の家 直営店)(東京都豊島区目白1-7-14 みさとビル1F)
TEL:03-3985-3363 、http://ehon-house.com/
文・写真=干川美奈子