保育園に男性保育士は必要?課題と改善点について【小阪有花さん連載③】

保育園に男性保育士は必要?課題と改善点について【小阪有花さん連載③】

保育中の子どもにわいせつな行為をしたとして、保育士の資格を持つ男性が逮捕されるという事件が複数発生しました。中には男性シッターによるサポートを一時的に全面停止する措置にでた企業もあります。これらの出来事をきっかけに、「男性保育士とは必要なのか?」と改めて考えた方もいらっしゃるのではないでしょうか? 今回は、男性保育士の役割や、保育現場での立ち位置などをお話ししたいと思います。(子どもの心スペシャリスト・小阪有花)

保育園での男性保育士の役割とは?

子ども達にとって、保育園はもう1つの家庭です。今は3組に1組が離婚していると言われていますが、本来家族にはお母さんとお父さんがいます。なので、保育園にも男性保育士がいて、お父さんのような役割を果たしていくことが子ども達にとっても豊かな保育園生活を送ることができると私は考えます。

さて、そんな父親的役割を果たせる男性保育士の役割とはどんなものなのか? いくつかあげていきます。

防犯対策

男性がいることで保護者、職員も防犯面で安心感が得られます。特に、夜間保育がある園には男性保育士がいてくれるだけで深夜の不安は大きく解消されるかと思います。

体力仕事

男女差別になってしまうかもしれませんが、やはり重たい荷物を運んだり、体力仕事を任せられる人がいることは女性としては頼りになる存在です。

子どもの包茎問題との向き合い方

男の子トイレは男性保育士がいることで対応できます。また男の子の包茎問題は独身の女性保育士は戸惑ってしまうことも。男性保育士が詳しいと決めつける訳ではありませんが、向き合い方を教えてもらえるのも男性ならではかと思います。

おもいっきり遊ぶ。

子どもの体力は無限です。体を使った遊びや、集団で抱っこを要求されることもしばしば。男性保育士がいると、子ども達は思いっきり遊べ、女性保育士は助かります。

大切な人たちを守る姿

子ども達は保育士さんに守られて育ちます。普段守ってもらっている女性保育士さんが男性保育士に守られたり、頼りにされる姿を見ることで、大切な人を守る姿を自然に学ぶことができます。

男性保育士は大切な存在。しかし環境や様々な事件により体制が整わないのも現実。

ここまで、男性保育士の素晴らしい役割を伝えてきましたが、一方で課題が多く男性保育士が働きにくいのが現実です。

冒頭でもお話しした性的問題ももちろんですが、そもそも保育園自体がいまだに女性の職場として扱われています。保育士は女性が基本であり、「男性保育士はめずらしい存在」という風潮が男性保育士の参加を困難にさせています。担任の先生になるのも基本、女性保育士なので、保護者が男性保育士とのコミュニケーションも満足にとれない状況から、クレームまでいかなくとも、「お手洗いはどんな先生が一緒にいっているか」と聞かれるなど、あれこれ警戒されてしまうこともあります。

そういった肩身の狭い思いをすることがあるにもかかわらず、厚生労働省が発表している賃金構造基本統計調査を見てみると、全産業の月間現金給与額と保育士の月間現金給与額は約10万円もの差があると言われています。誤解されやすいリスクが大きく、溶け込みにくい環境でお給料も他の仕事に比べて低い。こんな状態では、男性保育士が増えていくわけはありません。

「それでも保育士になりたい」と思ってくれる男性保育士さんに私たちができること。

けして好条件とはいえない男性保育士という仕事。それでも、子どもが大好きだからといって男性保育士という職業を選んでくれる男性に、本来は感謝したいところですよね。しかし、男性保育士を雇うことでどうしても出てきてしまうデメリット。これらを打ち消す方向に向かわせるには、信頼感しかありません。

職場や保護者との関係づくりがしっかりできていれば問題が起きることはないと思います。そのためには「〇〇先生(男性保育士)なら信頼できます」と女性保育士がしっかりと保護者に伝えることや、「〇〇先生なら安心できます!」と言ってもらえるよう、保護者とのコミュニケーションを積極的にとり信頼関係を構築していくことが最も大切なことだと思います。

小阪有花

【小阪有花】2004年 ミスマガジンから芸能界へ。2009年に芸能引退後、保育コンサルを経て、2020年 総合制作会社cheer lead を設立。