認可保育園は、家庭の状況などが点数化される
「我が子を待機児童にしたくない」というのは、どの保護者も思っていることでしょう。そこで、できれば人気が高く、施設も充実している「認可保育園」に入りたいという保護者のために「待機児童にならないための10の保活テクニック」を紹介します。
認可保育園に入るには、各自治体に申し込む必要がありますが、その際に世帯ごとにつけられる「点数(指数)」を稼ぐことが重要です。何の点数かといいますと育児に困っている度合点というのが正しいと思います。これを保育点といい、「基準点(基本指数)」、「調整点(調整指数)」の2種に分かれます。
基準点は「父母の就労時間や日数などの勤務状態」、「ひとり親世帯」、「産前産後」、「親の病気や障害での介護や看護の有無」、「就学や災害等の状態か求職活動中」といったものが加点対象です。
調整点は「祖父母や親族との同居の有無」、「片親が単身赴任中」、「兄弟の保育園利用中」、「認可外保育園を利用している」、「保育士資格の有無」、「子供の転入予定」、「特別支援を必要とする障害児」といった内容が加減点対象です。
この合計点数が多い人ほど保活において優遇されるようになっています。
つまり、待機児童にならないためには保育点を稼ぐことが大切です。特に点数の多い基準点は落とせません。最低限の基準点を取りながら、調整点で少しでもいいから加点をできれば、子供を認可保育園へ預けることができるでしょう。
そのための10の保活テクニックを紹介しましょう。
10の保活テクニック、その1
自治体に行って、認可保育園の状況をリサーチ
ネット上にある情報を収集するのもいいのですが、状況は毎年変化しているので、最終的には自治体に聞くことをお勧めします。
【参考記事はこちら】
本当に保育園の待機児童が多い自治体は?「待機児童比率ランキング」を調査(東京都)
10の保活テクニック、その2
フルタイムの仕事に復帰しておく
基準点の大半を占めるのが、父母の就労についての項目です。月20日かつ週40時間の就労で、それに見あう収入があるフルタイム勤務の人は、「満点」となります。これを父母両方が持っていれば基準点はほぼ最高点です。
一方で、フリーランス、自営業の人は、自宅で子供の面倒を見ながら仕事ができるという理由からか、基準点がフルタイム勤務の人に比べて低くなっています。
実は、自治体によっては、基準点がほぼ満点でなければ希望の保育園には入れないという状況なので、フリーランス、自営業というだけで、スタートラインにさえ立てないというのが現実です。これで点数を落とすことになると非常に大きなビハインドになってしまいます。
そこで、何とかして夫婦ともにフルタイムで働いているという状況を作っておきたいものです。一次的でもいいので両親に子育てを手伝ってもらったり、お金がかかるとしても、一時保育やベビーシッターなどを活用したりして、フルタイムの仕事に復帰しておくというのが理想です。
最近は、こうした厳しい状況を見て、嘘の就労証明を発行してくれる「アリバイ会社」なるものも存在しています。こうしたことは違法になる可能性が非常に高いので、手を出すのはやめましょう。
10の保活テクニック、その3
4〜5月に出産し、0歳児クラスに入れる
保育園に子供を預けられるのは、生後57日目からです。とはいっても、都内などの認可保育園はほとんど空きがないので、毎年4月の一斉入園の時期に応募して入るしかありません。その際は、年齢別のクラスに申し込みます。多くの保護者は、「0歳児クラス」か「1歳児クラス」に申し込みますが、実は「0歳児クラス」の方が倍率は低いため、狙い目なのです。
ただし、生まれたばかりの赤ちゃんを保育園に預けるのは不安ですし、親子のスキンシップをきちんと撮りたいというのが親心でしょう。そこでおすすめなのが、4〜5月に計画的に出産するというテクニックです。
そうすれば、1年弱の間赤ちゃんと過ごすことができる上、「0歳児クラス」に申し込むことができるのです。
ただし、最近は1歳児クラスではほとんど入園できず、無理をしてでも0歳児クラスに入れたいという人が増えているため、0歳児クラスを狙えば確実という状況ではなくなってきています。一度、認可保育園に入っておけば、途中で働き方の状況などが変わってフルタイムでなくなっても、すでに保育園に通っている人が優先されるので、「とにかく子供を入れておこう」という保護者が増えているのでしょう。
自治体でヒアリングするときは、必ず「年齢別の倍率」を聞いておくようにしましょう。
10の保活テクニック、その4
みなし離婚をすれば、基準点がアップ
少なくとも、「ひとり親世帯」であれば、フルタイムの共働き夫婦よりは基準点が高いので、入園しやすくなるのは事実です。ただし、モラルとしてお勧めできる内容ではないですね。
10の保活テクニック、その5
認可外保育等を事前に利用しておく
これは「調整点」を稼ぐ方法です。
認可保育園に入れる予定の半年前などから認可外の保育等を利用することで、調整点をいくらか稼ぐことができます。認可外でも施設が見つからない場合はベビーシッターでも加点の対象になる自治体もあります。
フルタイムの共働きで横並びになっている状況では、1,2点でもいいから加点しておくことは、大きなアドバンテージです。自治体の発行している保育ガイド等を熟読して、加点になる施設を見つけて利用しておきましょう。
10の保活テクニック、その6
兄弟がいれば、上の子は必ず保育園等に預ける
そうすれば、下の子が入る時に「兄弟の保育園利用中」ということになり、調整点が加算されます。
10の保活テクニック、その7
祖父母との距離を作る
祖父母と同居もしくは近くに住んでいると、調整点が減点されてしまいます。必要かつ可能であれば、少し遠くに引っ越すことも一つの手段です。自治体ごとに「徒歩何分以内の距離に祖父母がいる」などの基準を作っているので確認しておきましょう。
また、祖父母も就労していたり、祖父母の介護等があったりという証明が出せるのであれば、その証明をもって減点を回避することもできます。
10の保活テクニック、その8
陳情書などで訴えれば、特例措置もある
自治体によっては、「陳情書」を受け付けてくれます。非常に厳しい状況であることを、書面等にして自治体に提出すれば、「区長による特別加点」が認められることがあります。東京都中野区の場合、「特例・区長が特に配慮を必要と認める場合」として1〜10点もの加点を認めていますので、一発逆転があり得るでしょう。
知り合いの市町村議員に頼んで、自治体に陳情書を提出してもいいかもしれません。
10の保活テクニック、その9
隣町で通える認可保育園もチェックする
自分の住んでいる町だけではなく、通えると思える範囲の保育園は全て把握しておいてもいいかもしれません。住んでいなくても、申し込みはできます。
ただし、住民でないと優先順位はかなり低くなってしまうので、「現在、隣町で空いている保育園がある」場合などに限られるでしょう。
10の保活テクニック、その10
認可外保育園も早めにチェックしておく
ここまでは、自治体経由で申し込む「認可保育園」に入る方法を解説してきました。しかし、人気の高い地区では、思ったような認可保育園には入れないので、認可外保育園も早めに調べたり、訪問したりしておくことが重要です。
「認可保育所等」は各自治体にも申し込みを行い、状況が厳しい人から順に入園を認めています。「認可外保育所等」は、そうした縛りはありませんので、各保育園に直接申し込むのですが、先着順であったり、人気があれば抽選になったりします。東京だと、東京都独自の制度である「認証保育園」が「認可外」扱いになるので、それぞれの保育園に申し込む必要があります。
認可保育園の申し込みは毎年10月から12月頃です。
認可外保育園については、認可保育園に落ちた人が行く人が中心なので、2月に申し込みという保育園が多いのですが、人気の保育園だと前年の9月には締め切っている保育園もあります。ですので、子供が生まれたら、すぐに近隣の保育園の申し込み時期をチェックしておくべきでしょう。
まとめ〜情報収取と、早めのスタートが肝心
以上が、「待機児童にならないための10の保活テクニック」です。とにかく情報収集をして、早めに動くことが重要です。
出産後の大変な時期に、今度は保活という大変な仕事をしなければならないという日本の状況は本当に困ったものです。このような保活に苦しむ家庭がなくなること時代が早く来て欲しいですね。
【参考記事はこちら】
「認可保育園」より「認証保育園」が優れていた! 保護者の評判や満足度で、両者を徹底比較