オンラインで採用まで完結する施設が増えた!コロナ下での保育士転職事情は?

オンラインで採用まで完結する施設が増えた!コロナ下での保育士転職事情は?

新型コロナウィルスの大流行により、保育士の転職活動にも影響が出ています。今回は、オンラインで採用まで完結する施設が増えたことで、コロナ下でも希望通りの転職をすることができた高橋さん(仮名)のケースをご紹介します(キャリアコーチ・藤森みずほ)。

      <目次>
  1. 1.転職を考えたきっかけは?
  2. 2.コロナ禍での転職活動で困ったことは?
  3. 3.転職してみてどうだった?
  4. 4.元園長として考える「コロナ禍での転職」
  5. 5.まとめ

1.転職を考えたきっかけは?

高橋さん(31歳・女性)は定員200名ほどの大規模認可保育園で働いていました。母体は社会福祉法人が母体で、都内に同様の規模のグループ園を複数運営しています。社会人経験を経て保育士資格を取得した高橋さんは、今年度で保育士3年目でした。国全体が混乱していたコロナ下において、わざわざ違う環境に身を置くことを決めたきっかけは何だったのでしょうか。

高橋さんは「緊急事態宣言下での本部の運営方針に疑問を持ったからです」と話し始めてくれました。

高橋さんの勤務する園では、宣言期間中の預かり児数が1桁だったので、ほとんどの職員が在宅勤務を言い渡されたそうです。在宅勤務の内容は、8時から17時までオンラインでの社内研修でした。社内で役職を持つ保育士が講師にあたっていたようですが、ほとんどが講師経験のない職員で、内容も付け焼き刃で薄っぺらく感じたとのこと。学ぶ時間というより見張られていると感じたようで、「興味のない分野の研修が続く日はノイローゼになりそうでした。」と高橋さんは言います。

同業の友人からは「休業になったから外部研修でスキルアップできた」「保育計画や手作りおもちゃを作っている」などと有意義で魅力的な活動をしている様子を聞いていた高橋さん。職員を縛り付けるようなやり方で在宅勤務を強いる方法を選んだ運営母体には、単純に明るい未来を感じなかったということでした。

転職するかどうか悩む女性

2.コロナ禍での転職活動で困ったことは?

高橋さんは緊急事態宣言中から転職に関する情報収集を始めました。

感染拡大防止のため、見学を受け付けていない施設が多いということを知り、人材紹介サービスに複数登録し、それぞれの担当者から詳しい園内環境について聞くことにしたそうです。

候補先の資料はメールで送ってもらうことで解消でき、気になる点について質問すると、追加で写真付きの資料を送ってくれたケースもあったようです。「気軽に見学できないことは確かにデメリットではあったけれど、オンラインでも十分に対応してくれた園の方がこれからの時代に即していると感じた。困ったことは意外となかったです。」と高橋さん。

Zoomアプリなどビデオ会議ツールを使用し、顔を見てやり取りすることで担当者との信頼関係作りは問題なかったとも話してくれました。「LINEでの対応が可能だった人材紹介サービスは、手軽に利用できました。担当者さんとのやりとりもスピード感があって便利さを感じましたね」とのこと。新卒で就職活動した2年前とは随分、違ったようです。

3.転職してみてどうだった?

オンラインでの面接を経て、無事、第一希望の認可保育園に転職できた高橋さん。職員間の人間関係や園児や保護者の雰囲気などのオンラインではわからなかった部分にも特に問題はなく、楽しく勤務できているとお話してくれました。

また、高橋さんは英会話が得意で保育に活かしたいと考えていたこともあり、英会話の時間を取り入れている園を選んだそうです。英語保育のスキルが評価されたため、経験年数は短いものの、今回の転職で年収が20万円ほどアップしたと喜んでおられました。「先が見えないこんなときだからこそ、自分のやりたいことや今後の方向性について考えることができました。その結果が今回の転職活動の成功につながったと思っています」。そう話す高橋さんの笑顔は、オンラインでインタビューしていた私のパソコン画面上でも、とても眩しく、希望に満ち溢れていて印象的でした。

4.元保育園園長として考える「コロナ禍での転職」

筆者は昨年3月(2020年3月)まで都内の保育施設で園長を務めていましたので、保育士の転職を多数見てきました。例年、年度いっぱいで現在の施設を退職をし、4月からの転職先を探す保育士が動き出す時期は11月〜1月が多いと言われています。しかし、実際は「できるだけ目の前の子どもたちの保育に集中したい」という希望を持つ保育士も多いため、十分な転職活動をせずに転職が決まらないまま、3月に突入してしまう保育士も少なくありません。

キャリアコーチとして、保育士からキャリア相談を受けることが多い筆者ですが、新型コロナウィルスが流行してからは「実は転職を考えていたけど、延期した」という声が多く聞かれました。2020年の1〜3月は、手袋やマスク、トイレットペーパーなどの消耗品の不足や、園児の健康管理や卒園式などのイベント内容の見直しなどの未知のウィルスへの対策に終われ、転職に費やせる「気力」も「体力」も「時間」もなかったことが原因だと考えます。

またコロナ禍で、直接、施設見学ができないことや、園長先生をはじめとする一緒に働くであろう職員とリアルに顔を合わせることができないというデメリットもあります。いくら見学を重ねても「実際に働いてみないとわからない」という点については否めませんが、やはり見学できないというデメリットは大きいと感じます。

一方で、今回の非常事態でオンラインの活用が急速に普及し、保育業界の転職活動にも良い影響をもたらしていることは、緊急事態宣言の恩恵ではないかと筆者は感じます。今回お話を聞いた高橋さんのケースのように、オンラインで採用まで完結する施設もあります。

転職活動がきっかけで、ビデオ会議ツールの使い方を勉強したという保育士も多くいました。

そういった点では、コロナ禍で普及したオンラインでの転職活動は、「新しい生活様式」の一つとして有効なのではないでしょうか。「気になる点について質問すると、追加で写真付きの資料を送ってくれたケースもあった」など、直接会わなくても工夫次第で、情報は穴埋めすることもできます。

採用する側としても、今後も感染拡大防止の為、外部の人間が施設に出入りする機会を制限する必要があるので、双方にメリットがあるように思います。

5.まとめ

コロナの中での転職活動はデメリットばかりが目立つように感じていましたが、実際にはメリットの方が多かったというケースをご紹介しました。今年は、保育士にとっても見通しが立ちづらく、先行きがわからない不安が大きくなりがちな1年でした。しかし、こんな状況だからこそ可能になったことや、気づけたこともたくさんあるはず。

この記事が、混乱が続く現状で転職をためらっている保育士さんの希望に、そして、オンラインに抵抗がある保育士さんが新たなツールの使用を前向きに取り組んでもらえるきっかけになれば幸いです。

【藤森みずほ】現役の看護師で保育士。看護師長や保育園園長の経験者。笑顔で働き続けたい女性のためのキャリアコーチとしても活動中。noteを運営中。

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