保育士のサービス残業は当たり前? その実態と転職前の見極め方とは?

保育士のサービス残業は当たり前? その実態と転職前の見極め方とは?

「なりたい職業ランキング」では、常に上位にランキングしている保育士。しかし、実際に働いてみると、サービス残業に悩まされ、離職する人が多いことも事実です。保育士のサービス残業についての実態とその見極め方をまとめてみました。(元保育園園長・藤森みずほ)

      <目次>
  1. 1.なぜ保育士業務はサービス残業になりやすい?
  2. 2.2.サービス残業が原因で離職した筆者の話
  3. 3.残業が少ない施設の見極め方
  4. 4.サービス残業に悩んだらどうする?
  5. 5.まとめ

1.なぜ保育士業務はサービス残業になりやすい?

保育園の保育士業務は多岐にわたります。

日中は当然、子どもたちの保育にあたりますが、その他にも、居室の清掃やおもちゃの消毒、トイレ掃除などの雑務があります。加えて、連絡帳の記入や保育計画、個人記録などの作成があり、それら全てを8時間勤務中に行うことはかなり厳しいのが現状です。60分の休憩をしっかりとることですら難しいほどの量の仕事があるため、残った業務は残業をしなければ終わりません。

さらに、行事の準備や感染症の流行時期の消毒などで日中の業務が圧迫される時期もあります。職員会議や園内研修も実施する必要がありますが、子どもたちが帰ったあとでないと行えないため、必然的に閉園後の時間帯に残業が発生してしまうのです。

そもそも残業になりやすい保育士業務の現状があるわけですが、なぜそれがサービス(無給)になってしまうことが多いのでしょうか。そこには「子どものために」という保育士の強い使命感や責任感が大きく影響していると考えます。保育園の運営は国や自治体からの補助金で運営されているため、どれだけ現場が必要だからと訴えても、限られた資金の中でやりくりする必要があるのです。そのため、経営陣と現場の想いは平行線をたどることが多く、「だったら無給でもいいからやる!」と保育士が受け入れざるをえない状況になってしまうという保育業界の体質が大きな原因でしょう。

サービス残業に悩む女性

2.サービス残業が原因で離職した筆者の話

筆者は短大を卒業後、認可保育園に就職しました。

3歳未満児クラスの担任を複数の先生と受け持ちさせてもらった筆者ですが、「子どもたちにケガをさせてはいけない」「先輩に迷惑をかけてはいけない」と、日常の保育と雑務だけで精一杯。毎日の書類仕事も先輩保育士を同じ量を課せられ、休憩時間を返上して作業に取り組みました。さらには、4月の入園式から始まり、翌年3月の卒園式まで毎月のように実施される保護者参加の行事の準備があります。

そして、そこには当然のようにサービス残業として、夕方から22時ころまで連日行う先輩保育士の姿がありました。

園の風土に流されるまま、休憩を取らず、毎月30時間以上のサービス残業を続けた筆者には、これからもずっと保育士として働きたいという気持ちが芽生えることはありませんでした。「せっかく憧れだった保育士になれたのに」という気持ちは大きかったのですが、1年で退職することを決めました。(その後、筆者は園長として保育士復帰を果たし、業界の悪しき体質を変えるべく奮闘しました)

3.残業が少ない施設の見極め方

サービス残業が日常化している施設は、そもそも「残業しなければならないほどの業務量」が保育士に課せられているという事態があります。筆者は園長時代、自身も含めた職員全員、ほとんどの月で「残業ゼロ」を達成していました。その時の取り組みを参考にしながら、残業が少ない施設の見極め方をまとめてみます。

①人員に余裕がある
数ある業務を何人で取り組むかによって、一人の負担は大きく減ります。人員に余裕があれば、休憩はしっかりとれますし、現場を抜けて事務仕事に集中することも可能です。預かり児童数に対して保育士が何名で保育に従事するかには自治体の決まりがありますが、日中のピーク時に、保育士が必要最低限の保育士数に比べてプラス2名いると無理なく業務に取り組めます。急な職員の欠勤にも、誰かが残業せずに対応できる余裕があると心強いですよね。

②行事が少ない
勤務時間外に取り組む業務には行事の準備が大半を占めます。特に、保護者が参加する行事の際には力の入った装飾や出し物の準備をすることが多いです。そこで筆者が小規模保育園の園長時代は、保護者参加の行事を「保育参観・参加」「卒園式」に限定しました。その代わり、保護者との送迎時の会話時間を多くとるようにしたり、写真をたくさん使ったポートフォリオを玄関に毎日掲示するなどして、子どもたちの成長を伝え、信頼関係を築きました。

③脱アナログ化に取り組んでいる
保育ICTの導入がされていると、紙で作成する書類が最小限になります。連絡帳もタブレットで管理でき、保育計画もパソコンで簡単に作成可能となりました。ただ、導入に関して経営陣の方針や園の保育方針が左右するので、一部導入という施設も多くあります。筆者の園長時代は、保護者の要望や職員からメリットが多数寄せられたことで、連絡帳は手書きのままにしましたが、シフト作成や園児の出席簿などはICT導入をしました。規模が大きいほど脱アナログ化に取り組んだ方が、働く職員の負担は減ると考えます。

④会議・研修は勤務時間内に実施している
①にも通ずるのですが、人員不足があると、閉園後や預かり児の少ない土曜日に職員を出勤させて会議や研修をすることが少なくありません。勤務時間内に実施するためには、午睡時間を活用する必要がありますが、それには人員が必要です。午睡チェックをお願いするために、昼12~15時の人員配置を厚くしたシフトを組むことで実施が可能となります。筆者はパート保育士を採用して手厚くしました。これで、休憩も確実に60分確保できます。

⑤管理職が「残業ゼロ」を心がけている
これが最重要だと筆者は考えます。「仕事時間が長い方が評価される」「残業を頑張った人が褒められる」という風土は、評価をする者が作り上げている場合が多いからです。そういった風土がある施設では、残業が日常化されやすくなってします。

また、トラブル対処など緊急事態の残業は管理職として当然ですが、「どうせ給料は変わらないから」と言ってダラダラ残業していたり、労働時間に無頓着だったりする管理職者は、部下の労働時間についても関心がありません。関心がないということは、自分の施設がサービス残業当たり前の環境になっていても事態に気づくまで時間がかかります。園長、主任を含めた全職員が「残業ゼロ」を掲げて協力し合うことが大切です。

4.サービス残業に悩んだらどうする?

現在勤務している施設でのサービス残業に苦しんでいる保育士さんは、まず第三者への相談をオススメします。どれだけサービス残業しているか手帳などに記録し、労働基準監督署に相談したり、介護・保育ユニオンに加入して団体交渉をしたり、未払い残業代を請求したりすることを検討してもいいと思います。

いくら「子どものために」働いているのだとしても、例外なく労働者として守られるべき権利があります。労働基準法のルールや就業規則を確認して行動してみてください。さまざま動いてみても改善が難しいようであれば、他の施設へ転職することも考えてみましょう。前述した見極めポイントは、転職活動中に人材紹介会社や施設見学、面接の際に確認できることがほとんどです。
介護・保育ユニオンは、介護・保育・福祉業界で働く人の労働相談を受け付けている。

5.まとめ

「やりがい搾取」という体質が根強い保育業界。それでも、日々、保育士は未来を担う子どもたちの成長を保護者と共に育んでいます。

サービス残業は決して当たり前ではありません。人生において費やす時間が多い「労働」について、自分を犠牲にすることなく働くことができる保育士が増えることを願っています。

【藤森みずほ】現役の看護師で保育士。看護師長や保育園園長の経験者。笑顔で働き続けたい女性のためのキャリアコーチとしても活動中。noteを運営中。

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